犬や猫のよくある神経系の疾患の一つとして、斜頸というものがあります。

斜頸とは耳の奥の三半規管が様々な原因で機能不全に陥るか(前庭疾患)、脳の一部に何かしらの異常、例えば腫瘍などがあった場合に起こる病気です。

特に猫の場合は、内耳炎もしくは脳腫瘍による発生が多く、特にアメリカンショートヘアは脳腫瘍のケースが多いと言われています。

今回はそんな斜頸をおこしたアメリカンショートヘアの飼い主様宅に往診へ行ってきましたので、同じような疾患をお持ちの方がいらっしゃいましたら是非とも参考にしてください。

斜頸になった時の症状は?

正確に言うのであれば、原因が三半規管にあるのか、脳内にあるのかで症状は異なってきます。

ざっくりと言えば、脳内の腫瘍による斜頸の方が予後は悪いと思います。

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理由は、三半規管に問題がある時には、ある程度治療を進めていくと食欲は戻ることが多いのですが、脳内疾患の場合は食欲がない状態が続くことが多いからです。

特にアメリカンショートヘアを含めた猫全般では、こういった症状になった時の衰弱のスピードが著しく、体重の減少が非常に早く起こってきます。

また、場合によっては痙攣が起こるケースもあり、どういった管理をすればよいのか悩まれる飼い主様も多くいらっしゃいます。

治療法

もし積極的な方法をとるのであれば、斜頸を起こす原因を調べるためMRIの検査が必要となりますが、たいていの場合現実的に難しいと思います。

斜頸を起こす猫は高齢であることが多く、また検査には全身麻酔が必要なため、検査そのものに大きなリスクを抱えるからです。

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したがって、たいていの場合は高容量のステロイドを使用し反応を見ていくケースがほとんどです。

おおよそ2週間ぐらい使用しつつ治療の反応を確認していくのですが、臨床獣医師として考える治療のゴールは斜頸を治すことではなく、食欲が維持できるかどうかというところです。

理由は多少首が傾いていても大きな障害にはならないからです。

後遺症はあったとしても日常生活に支障がない状況にもっていく、これに全力を尽くしていきます。

往診獣医師としての役割

基本的にステロイドの投薬は内服でも可能です。

したがって往診を含めた診療はあまり必要ありません。

ただし前述のとおり、猫の場合は脳腫瘍が多く食欲が全くないケースが圧倒的に多いので、皮下補液と言って、脱水を改善するための水分といくつかのビタミンなどの栄養補給を注射で補うことが大切です。

こういった注射は終わりがないケースが圧倒的に多く、週1、2ほど注射に通われる必要があります。

したがって老猫の通院は予想以上に負担がかかるため、往診をご利用する方が多くいらっしゃいます。

通院の負担がないのが往診の最大のメリットの一つだからです。

まとめ

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セカンドセレクトでのおおよそご料金は、内服料金が2週間分で3000円~5000円ほどになります。

食欲がない場合は皮下補液を使用しますが、1回2000円~3000円ほどになります。

これに往診料の3000円が加わるのですが、今回の飼い主様は内服の投薬がうまくいかず、抗生剤やステロイドの投薬も往診で行う形となりました。

全体的には1回の注射のご費用が6000円と往診料となります。

飼い主様がかかりつけの病院に行くまでには、老猫をつれて車で30分ほどの距離でした。

この距離の移動を負担と考えるかどうかは人によるとは思いますが、飼い主様は往診をご依頼するようになってからとても楽になったと言われていました。

往診料もバカにはなりませんが、セカンドセレクトでは状況に合わせできるだ治療コストを下げる努力も致しますので、お気兼ねなくご相談ください。

今回の猫は斜頸はほぼ沈静化したのですが、食欲が安定しないため、血液検査などを行いながら、今後も定期的に皮下補液を中心とした支持治療を行う予定です。

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