僕の実家は目黒区にあるので、子供のころからずっと東京に住んでいます。
小学校の頃は、夏でも扇風機なしでぐっすり寝れる程度の温度だったと思います。
学校にも冷房は職員室にしかなく、自宅の自分の部屋にクーラーがついたのは大学受験の時だったと記憶しています。
それから20年以上たった近年の気候の変化はすさまじく、クーラーなしでの生活は考えられないようになりました。
毎年熱中症のニュースが流れる中、国によっては真夏の炎天下で犬を散歩させていると動物を虐待しているような非難の目を受けるようなこともあると聞いたことがあります。
日本ではそのようなことはないにしろ、獣医師からの目線でも猛暑日の中、たとえ通院とはいえ動物病院に連れてくるよう飼い主様にお話しするのは少し躊躇することもあります。
そういったときに考えてもらいたいのは往診での通院です。
今回は夏は特に往診の方が適しているペットの例をご説明したいと思います。
定期的な皮下補液を行っている
主に多いのが慢性腎不全を患っている老猫だとは思いますが、定期的に皮下補液を行っているような動物たちは慢性的に脱水気味であることが多いと思います。
また検査もそれほど頻回に必要というわけでもなく、また緊急性もないのでどちらかと言えば、往診で皮下補液を行った方がメリットが高いと思います。
短頭種
フレンチブルドッグのような人気の犬種を筆頭に、パグ、ボストンテリアなどの短頭種は呼吸器系が非常に弱く、体温調整能力がほかの犬種に比べて著しく低いと言われています。
特に暑さにはめっぽう弱く、動物病院に連れてきただけで熱中症になった・・なんて犬を何回か見たことがあります。
お手入れやワクチンをしたい、けれど外の気温が気になるという方はぜひともお勧めです。
高齢もしくは若齢のペット
高齢や若齢の動物たちにとっても、高熱の環境はあまり好ましくありません。
人間と同様に体温の調節能力は若齢の動物はかなり弱く、また成体でも年をとればとるほど衰えていくのが普通です。
そのうえ、動物病院の待合室内も混雑しており、なくなく外で待たないといけないなどの状況もありえます。
病院から帰ったらいきなり下痢をした・・・なんて事もよく聞く話なのでやはり往診の活用を考えていただければと思います。
特にワクチン接種などは、炎天下の環境がワクチン後の体調不良の引き金にもなります。
こういった体力的に不安が残る動物たちの処置は、できれば夏の間だけでも往診で行ってあげたいところです。
動物病院には連れていけないけれど、飼い主様の体調がすぐれない
動物たちは1人で病院に言ってはくれません。
当然ですが飼い主様が連れて行くことになりますので、飼い主様の体調も通院には重要な要因になります。
動物病院には連れてはいきたいのだけれど、炎天下の中外に出ると、ますます自分の体調が悪化するようなときには、せめてご自宅での治療を行った方が得策だと思います。
まとめ
異常気象とはよく言いますが、この異常な猛暑は年々ひどくなる傾向にあります。
もちろん根本的に皆が努力してこの問題を解決しないといけないとは思いますが、とりあえずは目先のことも重要です。
数年前と異なり、この炎天下に動物を外に連れ出すことがだんだんと避けるべきと考えられる時代になってきました。
だからこういう時にこそ、ぜひとも往診を活用していただければと思います。