こんにちは、セカンドセレクト獣医師の斉藤です。

大腸検査は人間ドックでよくみられる検査項目だと思います。

40代から50代になると大腸にしこりが出来ることは多いのですが、初期段階ではほとんど自覚症状はありません。

初期段階で見つかるケースとしては、自発的に検査をした結果、内視鏡でポリープが発見されたり、潜血便などが見られたりすることで何かしらの異常が判明します。

一方で動物の場合も大腸の異常は中高齢以上で起こります。

猫の場合は犬より高齢で起こることが多いのですが、直腸で異常がみられることはあまりなく、どちらかと言えば小腸での異常が多いと言われています。

犬の場合はいわゆるシニアの年齢になると、直腸に腫瘍性のものや炎症性のもの、またはポリープなどが見られるようになります。

人間同様に大腸の病気は初期段階ではほとんど気づかれずにいるため、大抵の場合は症状がかなり進んだ状態で発見されることが多いと思います。

今回の記事では大腸の異常の中でも、特に直腸のポリープ、腫瘍についてご説明したいと思います。

直腸に異常があったらどんな症状になる?

割と多くの飼い主様が心配されるのですが、若い個体でも便に血がつくことはよくあります。

便が硬い、回数が多いといった生理的な理由でも出血はみられますし、大腸炎などを起こしても下痢便に血が付着していることもよくあります。

こういった潜血便はたいていの場合、便の通過とともに2次的に直腸が損傷し出血しているだけですので、出血自体にはそれほどの意味はありません。

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直腸は骨盤の中に存在しており、小型犬であれば肛門から人差し指1本分程度の腸です。

したがって最初に書いた通り、初期段階では全く症状はないのですが、しこりが大きくなるにつれて、便の太さが細くなる、排便時のイキミが目立つようになるなどの症状が出ます。

その時点で食欲不振や活動性がなくなることは滅多にないのですが、イキミの後に液体状のものが垂れることなどもみられるようになります。

出血は頻発する症状ではないのですが、割と大量に便に付着することもあるので、多くの場合この時点で飼い主様が気づくことになります。

出来たしこりは炎症性ポリープから悪性の腫瘍まで様々なタイプのものがあります。

多くの悪性の腫瘍のケースでは腫瘍が発生した腸の周囲に腫瘍が浸潤することが多く、近くのリンパ節に転移するほか、肝臓に遠隔転移することもあります。

またこのあたりも人間と同様なのですが、良性の腫瘍であったとしても、まれに悪性に転嫁することもあります。

今回の話とは少しずれるのですが、ポリープを作らない悪性腫瘍のケースもあり、この場合は腸の断面を1周覆うように拡大していきます。

この場合は重度の腸の狭窄を引き起こすため、直腸付近での腸閉塞が起こり、一般状態は著しく低下します。

検査の方法は?検査に内視鏡が必要?

ほとんどのケースの場合、直腸にできるしこりのほとんどが肛門から近位に発生するので、通常の診察の中で行える直腸検査で簡易的に発見できます。

むろん触知だけではそのしこりが腫瘍性のものかどうか、良性か悪性のものかを判断することはできません。

ただ出血を起こしている多くの直腸のポリープや腫瘍は、粘膜層がもろく崩れるように剥がれ落ちるため、直腸検査の際にしこりの一部がはぎとられるので、それを用いて病理検査を行うことが出来ます。

問題は表面がなめらかで、かつドーム状の形をしているしこりは、簡易的に調べることは中々できません。

直腸自体は他の腸の個所に比べて厚さが非常に薄いため、無理やり取ろうとすると腸自体に大きな損傷を起こす可能性があるからです。

ですのでこういったケースの場合は内視鏡による生検が必要になります。

なお、セカンドセレクトでは内視鏡検査は消化器系の専門病院にご紹介する形を現在取らさせて頂いております。

治療法は?

特にミニチュアダックスで多いのですが、直腸にできたポリープは自己免疫疾患によって起こるケースがあるために、こういった場合はステロイド剤やその他の免疫抑制剤を使用してコントロールしていきます。

セカンドセレクトでも多くの直腸ポリープを患ったミニチュアダックスが通院していますが、多くのケースで予後はいいと思います。

ただ残念ながら、このほかの原因でできたポリープに関しては、そのしこりがどんなものであっても、治療法は外科手術が唯一の方法となります。

しかし直腸は位置的に骨盤の中に存在しているため、しばしば手術自体が困難なケースが多いと思います。

またそれが悪性だった場合、直腸自体が周りの組織と癒着しているケースも多く、アプローチすら困難な場合も多くあります。

したがって手術が唯一の方法とは言いつつも、手術の内容としてはひじょうに難易度が高い部類のものであり、しばしば獣医師だけでなく、飼い主様を悩ませることになることが多くあります。

手術ができる状態であればいいのですが、手術が出来ないほど腫瘍の浸潤が見られたり、高齢のため全身麻酔のリスクが高すぎるので手術を断念するケースもあります。

こういった場合は、完全にコントロールできるわけではないのですが、抗炎症剤、鎮痛剤、下剤などを使用しながら経過を観察していきます。

セカンドセレクトでは直腸にがんを患った犬が何頭か通院されてはいましたが、できる限りの緩和療法に努めても、決して予後はいい結果だったとは言えませんでした。

まとめ

人間でも大腸がんは割と高い発生率があり、他の癌に比べても予後はそれほどよくはありません。

その理由の一つとしては、積極的に検査をしなければ早期発見が難しいところにあります。

ペットの場合、頻繁に動物病院に通われている飼い主様でも、直腸の検査を定期的に行っている方は皆無に等しいと思います。

ですので、特に排便時のイキミに関しては注意して観察しておいた方がいいと思います。