動物病院セカンドセレクトの記事で何度も書いているフレーズですが、ペットも高齢化に伴い人間と同じような病気をするという言葉は、ペットを飼っていれば日常的に聞く話です。

その代表的な病気と言えば、癌が代表格だと思います。

犬でよくみられる癌と言えば、乳腺の腫瘍、リンパ系や肥満細胞と言った血液のがんがよく発生します。

これらは臨床症状や検査の簡易性から容易に診断できるため、積極的に治療を行うケースも非常に多く、多くの治療法が日々更新されています。

一方で、検査から診断も困難で、かつ治療方法もかなり限られてしまう癌もたくさんあります。

特に頭蓋内に腫瘍の疑いがあった場合は、診断はMRIを実施し診断するしかないのですが、ペットのMRIは麻酔が必要となるため最初から検査を実施することは多くないかもしれません。

この記事ではそう言った頭蓋内の腫瘍の中で、グリオーマ(神経膠腫)についてご説明したいと思います。

グリオーマとは?

脳内の中には無数の神経細胞が存在し、それぞれがネットワークを形成し、複雑な思考や行動を行うための中心的な役割を担っています。

もちろん脳内にある細胞は神経細胞だけではなく、その役割を補助する細胞も多く存在します。

これらの細胞はいくつか種類があるのですが、総称してグリア細胞とか神経膠細胞と呼ばれます。

ある細胞は神経細胞に栄養を供給したり、その強度を保ったりもしますし、脳内の免疫の調整や神経細胞と近い役割をもつものもあります。

グリオーマとはこれらのグリア細胞が癌化して起こる悪性腫瘍で、医学的には発生する細胞によっても悪性度の度合いを決めることができるのですが、獣医医療の範疇ではまだまだそこまでには至っていません。

特に短頭種では頻発する脳内腫瘍で、しばしば異常な行動や徘徊、痙攣発作などを引き起こす、悪性度の高い腫瘍です。

診断方法

腫瘍の確定診断は基本的には細胞そのものを採取し、病理検査を行うことです。

ただし、グリオーマは脳内にできる腫瘍のため直接採取するのは難しく、血液検査などでも判断することはできません。

診断はMRIを利用することがほとんどです。

画像診断だけでは確定診断を行うことはできませんが、特徴的な画像が得られるので、おおよその診断までは行うことが出来ます。

治療法は?

人間の領域では手術にて縮小手術を行うのが一般的です。

ただしグリオーマは脳内にしみこむように浸潤するため、癌細胞を完全に取り切るのは不可能です。

したがって、術後に抗癌治療と放射線治療を行い、できる限りの再発を防ぎます。

ペットの場合は基本的に手術は対応不可で、また抗癌治療を行うことも稀で、唯一効果があるといわれているのが放射線治療となります。

ただし、実際には積極的な治療自体行うことは困難であることが多く、抗痙攣薬やステロイドなどの消炎剤、脳圧降下剤などを使用しできる限りの症状を抑えながら経過を見るのが一般的な治療となります。

放射線治療の実際

ご存知の飼い主様も多いとは思いますが、放射線治療とは腫瘍に対し集中的に放射線を照射し、腫瘍を攻撃する治療法です。

獣医医療では放射線治療はまだまだ一般的ではなく大学病院のような限られた施設のみでしか実施ができません。

毎回の治療には全身麻酔が必要であり、一般的な方法は2日から3日に1回ほど放射線を分割して照射していきます。

1クールはおおよそ4週間かかるのですが、費用は施設によってまちまちで、治療費だけで50万円から80万円程度かかります。

また一般的にガンマナイフと呼ばれる方法を実施できる施設もあります。

高濃度の放射線を高容量でかつ集中的に照射することができるので、一般的な放射線治療よりも短期間で終了することが出来ます。

現在では唯一北海道にある大学で行うことが出来ますが、有効性については完全には証明されていないようです。

いずれにせよ、その後もMRIにて腫瘍の再発性を確認していかないといけないため、動物への負担や経済的な負担も多く、一般的な治療になるのにはまだ多くの時間が必要だと思います。

まとめ

脳内の腫瘍は一時診療の動物病院内での診断が難しく、また飼い主様のお話を聞きながらそれを異常なものととらえるかどうかも判断しにくいこともあります。

過去にも、飼い主い様のお話を聞いてそれを普通の行動と判断し、診断を大幅に遅らせてしまったつらい経験もあります。

犬全体でみればそれほど発生率は高い腫瘍ではありませんが、いつもと違って行動が何か変かな?と思ったら、お気軽にご相談ください。

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