猫が顔を洗うと雨が降るなんて言う言葉がありますが、猫はよく顔を前足で洗うようなしぐさをします。

これは猫本来の行動なので、これ自体はあまり問題になることはありません。

ただ猫の飼い主様の中には、気づいたらいきなり猫の顔周りや耳が赤くなって、ひっかき傷がつていたなんてことがある方もいらっしゃると思います。。

猫の皮膚病はよく顔周りや首周りにみられることが多く、後ろ足で強烈にかきむしる行動が目立つようになります。

猫の顔周りの皮膚の病気はダニや蚊に刺されてというのも多いのですが、ほとんどの場合はアレルギー性皮膚炎が原因によるところが多いと考えられています。

今回の記事では、そういった猫のアレルギー性皮膚炎についてご説明したいと思います。

猫のアレルギー性皮膚炎とは?

同じアレルギー性皮膚炎と言っても、猫のものと人や犬のものとはかなり症状が異なります。

強いかゆみを引き起こしたり、細菌の2次感染を起こし悪化するなどの基本的なところは同じなのですが、炎症が起こる場所が大きく異なります。

犬や場合にはわきの下、内股、足先などに起こることがほとんどですが、猫の場合は顔周りに症状が出やすいのが特徴です。

特に目の上、耳の外側、首元や後頭部あたりは非常に掻きやすい部位で、赤みのほか、後ろ足の爪で引っ掻いたような傷がよくみられます。

また内股にも広範囲な脱毛が同時にみられることもあります。

この脱毛は猫が舐めることで起こるのですが、猫の舌はかなりざらざらしているため、なめた後にジュクジュクとした傷が残ることが多いと思います。

このあたりも犬のアレルギー性皮膚炎と異なるところで、犬よりも猫の爪は鋭利ですし、舌も硬い突起物が多いため、皮膚へより大きなダメージが加わります。

こういった意味では、猫の皮膚炎は2次的な被害がより拡大しやすいと言えると思います。

治療は人や犬と違う?

アレルギー性皮膚炎の治療法は基本的には人も犬も猫も変わりません。

根治治療というものがなく、かゆみを緩和させるための緩和療法のみが治療法となります。

よくかゆみ止めとして使用されるのがステロイド剤ですが、犬と異なり猫の場合には目立った副作用が出にくいとされているため、割と長期的に高容量で使用ができます。

ただ個人的な経験則ですが、全く副作用が出ないというわけではなく、多食気味になり脂肪がつきやすい体になったり、場合によっては糖尿病を併発するようなこともあります。

若い個体よりはやせ型の高齢な猫の方がその兆候が見られやすいと思います。

ですので、一部の獣医師はステロイドを使用せず、犬で認可が下りているアレルギー性皮膚炎用の分子標的薬というものを使用することもあります。

ただこれも経験則ですが、猫は犬よりも薬を使用しても掻痒感が取れにくいことが多く、割としっかりとした量の薬を投薬したとしても、掻いたりなめたりする行為が完全には止まらず、エリザベスカラーや腹帯などを装着する必要があるのも、猫の皮膚炎にはよく見られます。

また真菌症を併発していることも多く、抗真菌剤を併用することが犬に比べると多いのも特徴と言えます。

また薬浴などのシャンプー療法も実施しにくく、外用薬も使用すると余計に気にしてなめてしまうこともあるため、基本的には内服薬が主体となることが圧倒的に多いと思います。

まとめ

猫はもともと体をよく舐めたり、掻いたりする動物です。

また体を丸くしてあまり色々な場所を飼い主様に見せてくれないこともあり、病状の発見が遅れることもしばしばあります。

また猫自体を病院に連れていけないこともよくあるので、セカンドセレクトでは往診でも猫のアレルギー性皮膚炎の治療を行っています。

もし飼っている猫が最近になってなめるしぐさが多くなったり、脱毛の量が多くなったりしていたら・・・お気兼ねなくご相談ください

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