人間は視覚から得る情報は非常に多いとされます。
2つの目で視点を合わせることにより、目標物との距離感を正確に識別することができ、また色の種類や濃淡に対しても他の動物に比べると非常に敏感です。
そのため裸眼の状態でいると、目の良い人、目の悪い人では、日常的な能力にも差が出てくることは多いと思います。
一方、ペットでは視力を測るのは困難であり、目が良い、悪いを客観的に測ることはできません。
特に犬はもともと視力が弱い動物と言われており、犬種によっては白内障が好発するため、老齢期の視覚は非常に衰えていることがよくあります。
ところが今回ご紹介する病気、進行性網膜萎縮症は、年齢に関係なく、また白内障とも関係なく発生し、しばしば飼い主様を悩ませます。
記事を読んでみて、少し気になった方はいつでもお問い合わせください。
犬の目が見えなくなるとどんな症状になる?
先ほども書いた通り、犬はあまり視力も強くなく、また紫色と赤色に近い色ははっきりと識別できません。
したがって普通の犬でもテーブルの脚に当たったり、少し離れた飼い主様を判別できなかったりすることがあります。
視力が多少落ちた程度では日中の行動はほとんど変わりません。
一方で夕方から夜にかけての散歩や、薄暗い部屋での行動は段々と消極的になっていくこともあります。
いよいよ視力が低下していくと、障害物にやたら当たるようになりますが、このあたりで飼い主様が異変に気付くことがほとんどです。
また犬によっては、目の前のものに対しての警戒心が強くなり、食事などもかなり近づけてにおいを確認してから食べだしたり、いきなり顔周りに手をかざすと、咬もうとするような犬もいます。
進行性網膜萎縮症とは?
進行性網膜萎縮症は、その名の通り、目の奥にある網膜の神経が緩慢に委縮して、機能が失われていく病気です。
ミニチュアダックスに多く発生し、年齢も割と若い段階から発生することが多くあります。
症状の進行は非常に緩やかなため、最初のうちは「少しどんくさい犬」という感じで過ごしているのですが、じょじょに視力が低下すると、症状が目に見えて出てきます。
残念ながら遺伝的な要因とは言われていますが、詳しい発生原因はわかっていません。
検査法や治療法
検査の方法は眼底鏡と言う器具を使用して網膜を観察することによって診断します。
セカンドセレクトでも眼底鏡はあるので、進行性網膜萎縮症の診断は可能ですが、初期段階から中期まではより解像度の良い眼底鏡が必要なため、早期の段階から確定診断をつけるのであれば、専門病院をご紹介しています。
ただ、残念ながら治療法はありません。
月並みな話で言えば、できる限り部屋の家具の位置をずらさないとか、よく声をかけていただくなどの工夫しかありません。
先ほども書きましたが、視力の低下とともに、犬の性格が攻撃的になる仔もいますので、できる限りの信頼関係が維持できるように、付き合っていただくことが先決だと思います。
セカンドセレクトではそういった問題行動等が相談できる専門のペットカウンセラーの診療も行っていますので、いつでもご相談ください。
まとめ
世の中には不治の病というものは色々ありますが、この進行性網膜萎縮症のようにじょじょに進行し、見守るしかない病気は非常に悔しい気持ちになります。
少しでも飼い主様と犬の負担が減るようなご協力が何かしらできるかと思いますので、お気軽にご相談ください。