犬や猫の耳は人の耳よりも大きく特徴的な形をしています。
立ち耳だったり垂れ耳だったり、また大きさもまちまちですが、どのような耳でも割と顔の目立つところにあるので、耳の異常は飼い主様でも比較的気づきやすいと思います。
耳は外耳、中耳、内耳に分けられますが、そのうち外耳の異常は動物病院でよくみられる病気です。
今回の記事ではそんな外耳の異常の中でもよく目立つ疾患、「耳血腫」についてご説明したいと思います。
耳血腫とは?その原因
耳血腫とは字の通り、耳にできた血腫です。
耳はたいてい平べったい形をしていて、耳の皮膚と軟骨がすきまなく付着しており、そのわずかな隙間に血管が通っています。
耳血腫はその血管が破損し出血するため、本来であれば隙間のないはずの耳の皮膚と軟骨の隙間に血がたまり、耳がパンと腫れあがるようになります。
血管が破損する原因は外傷やアレルギー的な要因など色々なことが言われていますが、はっきりとしたことはわかっていません。
個人的な意見としては、アトピー体質な動物に多くみられ、特に耳の辺縁の毛が薄い犬や猫に多くみられるので、アレルギーや体温が下がる場所で血管炎が起こるような体質が原因だと考えています。
治療法
治療法は一般的にはステロイドもしくはインターフェロンを使用して腫れが引くのを待つのが一般的です。
耳の皮膚の下の出血はいずれは止まるのですが、耳の皮膚と軟骨の間のすきまはなかなか埋まらないため、炎症性の漿液が貯留し、なかなか腫れは引きません。
ステロイドやインターフェロンは止血をするというよりは、こういった炎症を抑える効果を期待して投与していきます。
ステロイドを使用する際は、2,3日おきに溜まってくる液体を吸引しながらステロイドを服用していきます。
だいたい2週間ぐらいで液体はたまらなくなります。
インターフェロンは2日に1回膨らんでいる耳の皮膚の下に注射していきます。
こちらも約2週間ほどかかります。
どちらの方が治癒率がいいかは、症例によってだとは思いますが、どちらの方法にせよ、頻回の通院が必要になります。
ただし、症例の中にはこういった内科療法に反応しないこともあり、そういった場合はいよいよ手術ということになります。
手術は必要?
手術は非常に簡易的に行うことが出来ます。
耳の皮膚に5㎜大ほどの穴を数か所開け排液を促し、皮膚と軟骨を縫い合わせ隙間を埋める手術が一般的な方法です。
この場合、耳の軟骨も消失することが多く、立ち耳の犬だった場合は術後折れ曲がってしまい、ちゃんと立たなくなることもあります。
また、片耳に耳血腫が見られた場合、反対側にも発生することはよくみられるため、その都度投薬により治療をしていくか、外科的な方法を取り入れるか相談しながら進めていきます。
まとめ
耳血腫が起こったとしても、自覚症状はあまりなく、ましてや命に係わる病気でもありません。
ただ目立つ場所にあるため、見た目は耳が腫れあがって痛々しい感じになります。
セカンドセレクトでは内科的な方法でも外科的な方法でもどちらでもご対応できますので、飼っているペットの耳が腫れていることに気づいたら、いつでもご連絡ください。