便秘症は猫ではもともとよくみられる症状です。
病的な問題がなくても、環境の変化や何かしらストレスが加わっただけで排泄が滞る繊細な生き物です。
セカンドセレクトでも多くの猫の飼い主様から便秘についてのご相談をよく受けることがあります。
便秘は様々なタイプのものが存在しているため、その対応も千差万別です。
今回はそんな猫の便秘症についてご説明したいと思います。
なぜ猫は便秘症になる?
猫は排尿・排便能力も含めて排泄に関しては犬に比べかなり弱い生き物だと思います。
猫はもともと肉食動物であるため、腸自体の長さも短く、腸自体の吸収能力もそれほど高くはありません。
腸の蠕動も他の動物に比べると弱いため、もともと便秘症にはなりやすいと考えられています。
そのうえ、猫は飲水量がもともと少ないため、便の水分含有量がとても少なく硬い便が出やすい他、毛づくろいをした時に一緒に飲んでしまう被毛が便に混じり、余計に排便しにくくなるなど、色々な生理的な要因が加わります。
さらに肥満気味の猫であればなおさら便秘の傾向になります。
健康体の猫でも2~3日便通が滞ることはよくあることで、飼い主様から便が出ないという問い合わせをよく受けます。
たいていの場合は様子を見ていただくのですが、中には病的な問題もあるため、あまりにも便秘が頻繁になるときには一度ご来院していただくことをお勧めしています。
様子を見ていい場合とは?
以下の場合では、1週間程度排便がなかったとしても、様子を見ていただくことが多いケースです。
- 排便をしようとしている仕草もない
- 少しいきむことはあるが食欲不振や嘔吐が見られない
- 下痢をしていてその治療をした後
これらの場合は、もともと便の量が大腸に少ないため、排便自体が刺激されないことで起こります。
したがって一番の処方箋は待つことになります。
また、便秘後の排便とともに出血がついていたという方もいらっしゃいますが、こちらも様子を見ていただくことがほとんどです。
あまり様子を見ない方がいい便秘
排便困難とともに食欲不振や嘔吐などが見られた場合は積極的な処置を行った方がいいと思います。
基本的に大きな疾患がなくても、猫は便秘により状態を崩すことが多くありますが、初発の場合は念のため検査を行った方がいいと思います。
血液検査、レントゲンが基本的な検査項目になります。
重度の脱水、特に腎不全が基礎疾患としてある場合は宿便をしやすく、また保護した猫の場合は特に骨盤が過去の事故などでゆがんでいる場合があるからです。
老猫でも馬尾と言われる尾の付け根あたりに何かしらの変化があることが多いので、一度はレントゲンは必須だと思います。
セカンドセレクトではあまりに便がたまっていた場合には摘便という形で、肛門から指で直接便を摘出します。
以前は浣腸も行っていたのですが、猫のイキミがひどい場合はさらに症状が悪化することもあるため、今ではほとんど行いません。
また脱水などが強くみられる場合には、処置後に皮下補液を行うこともあります。
ちなみに摘便のご料金は1000円から2000円程度、皮下補液は1回2000円から4000円程度になります。
普段のケアの方法は?
ここ近年は便秘専用の食事がかなり効果的だと思いますので、可能な限り食事療法を取り入れるべきだと思います。
セカンドセレクトでも取り扱いがりますので、いつでもご相談くさい。
また便通を促すサプリメントもあります。
不幸にも食事療法などで管理が困難な場合は、下剤などを低用量で飲み始め、便の硬さを調整していきます。
たいていはこれらの処置で安定するのですが、骨盤が歪んでいたり、高齢でいきむ力がないなどの悪条件があった場合には摘便などを定期的に行う必要があります。
摘便処置は猫によっては往診でも対応は可能なので、病院に連れてくる負担を避けたいなどご希望があれば、お気軽にお問い合わせください。
まとめ
排便は毎日のことです。
便秘は時には猫の健康状態を大きく低下させることもあります。
まだ症状が出ていなくても、慢性的に宿便がたまっていると腸の収縮能力が失われやすくなり、より自覚症状が出やすい状態になります。
宿便が多いかどうかは検査などをしなくても触診だけで簡単にわかりますので、ちょっと便秘が心配と思ったら、お気軽にご来院ください。