人間の子供には比較的よくみられるのですが、自分の指をなめたり、爪を噛んだりすることがあります。
情緒が安定していないなど、心因的な問題があるときもありますが、たいていの場合は無意識の行動となり、ある意味癖のようになってしまっているため、なかなかやめさせることが出来ません。
これは犬や猫でも同じことが言えます。
特に分離不安傾向の犬の場合は足先をなめる行為がよく見られ、毛の色が変わる、足の裏が赤くなるといったものから、出血などが見られるようになることもあります。
出血がある場合の多くは、指の間か肉球の間にしこりのようなものが出来ています。
趾間嚢胞と呼ばれるこのしこりは、すっきりと治るということはなく、頻繁に包帯を巻いたり、エリザベスカラーを装着したりなど、足先をなめさせないようにする必要があることもあります。
今回の記事ではこの趾間皮膚炎と趾間嚢胞についてご説明したいと思います。
趾間皮膚炎・趾間嚢胞はなぜおこる?
趾間皮膚炎はまず指や肉球の間にできた炎症をなめ壊してしまうことでおきます。
炎症はアレルギー的な要因だったり、接触性の感染だったり、そのほか数多くの原因でおこります。
炎症だけではしこりにはならないのですが、犬がその炎症の個所をなめだすことで、炎症個所が嚢胞化し、しこりのようになります。
これを趾間嚢胞といいます。
趾間嚢胞をさらに舐め続けた場合、そのしこりが自潰し、中から出血やドロッとした液状のものが出てくることもあります。
趾間嚢胞になったら・・
趾間嚢胞の犬は、常時、足先を舐めるようになったり、時に足先全体が腫れあがり、びっこを引くようになることもあります。
しこりから出てくる出血は次第に止まっていきますが、ある程度するとまた出血を繰り返すようになります。
実際には出血の量はそれほど多くはないのですが、シーツや床に常に付着するので、見た目は多いように見えます。
治療法は?
まずは舐めないようにエリザベスカラーなどを使用します。
また犬が許容してくれるのであれば、常時靴下などをはかせ、とにかくなめさせないように努めます。
基本的には特効薬というものは存在しないのですが、セカンドセレクトでは自潰した嚢胞状のしこりに、本来は外耳炎に使用する点耳薬を使用し、数日包帯を巻いておきます。
効能外使用という形にはなりますが、それなりの効能があると思います。
重症の場合は、その間に消炎剤やアレルギーなどで使用するかゆみ止めを服用しながら様子を見ていきます。
3日ほどしたら包帯を外すと、炎症は大幅に改善するのですが、症状は慢性的に進行することが多く、治ったと思っても度々再発することが多いと思います。
ですのであまりにも再発が多く、日常生活に支障が出るケースでは、その部分を外科的に切除することもあります。
また心因性と言って、分離不安などのストレスからくることも多いので、そういった分離不安用の安定剤などを使用することもあります。
いずれにしても治療経過は長くなることが一般的で、シーズーやアメリカンコッカー、ビーグルなどの好発犬種ではしばしば飼い主様の悩みのもとになります。
まとめ
足先を舐めると言っても、犬のそれは人間の子供が爪を噛んだりするのとは比べ物にならないほどしつこく舐め続けます。
もしそういった症状でお困りな飼い主様がいらっしゃいましたら、いつでもお気兼ねなくご相談ください。