こんにちは、セカンドセレクト獣医師の斉藤です。

動物によって爪の形はかなり変わっています。

犬の場合は長くそして太く伸びますし、猫の場合は鋭く伸びます。

その他、ウサギやハムスター、鳥、そしてもちろん人間もそれぞれ爪の形は全く異なります。

人の場合、足の爪はよくけがをしますが、犬や猫も爪のけがはよく起こります。

犬や猫の爪のけがはたいていの場合、どこかに引っ掛けてしまい、生爪がはがれるような感じになります。

時間がたつと徐々に膿んできて異臭を放つこともあります。

適切に治療するとわりとすぐに改善するのですが、時にはしこりのようなものを作り、なかなか治らないことがあります。

こういった時に気を付けないといけないのが、爪下にある腫瘍の存在です。

見た目では爪がはがれた後にできる炎症性のものとなかなか判断がつかないことも多いのですが、たまに悪性の腫瘍だったというようなこともあります。

今回は意外と気を付けないといけない腫瘍、爪下の扁平上皮癌についてご説明します。

爪下の悪性腫瘍はどんな感じ?

爪下の腫瘍は爪の基部が膨らんだようなものが多く、爪はそのふくらみによって少し上に持ち上がっているような感じです。

猫などの場合は発見に遅れることもあり、時間がたった患部は爪が取れてなくなっていることが多いと思います。

こうしたしこりのほとんどは扁平上皮癌という悪性度の強い腫瘍になります。

扁平上皮癌は滅多に転移しないのですが、周りの組織に急速に広がっていきます。

多くの場合は指先のみの病変で発見されるのですが、まれに骨へと浸潤していることもあり、骨への浸潤が認められた場合はあまり予後はよくないと言われています。

時間とともに腫瘍の大きさはどんどんと拡大していくため、最終的には肘のあたりまで腫瘍性に増殖した症例もありました。

とにかく爪の根元にしこりを見つけたら、早めに病理検査を行った方がいいと思います。

治療法は?

基本的には外科手術となります。

扁平上皮癌は周りの組織に浸潤する力が強いため、しこりだけ切除してもすぐに再発が起こるため、腫瘍と一緒に断趾を行うことがほとんどです。

指は3つの骨と2つの関節からなっていますが、根元の指の骨から切除していきます。

断趾まで行う理由は、扁平上皮癌は悪性度が高い腫瘍ですが転移はほぼないため、完全切除後の予後はかなり良いからです。

万が一、切除しけれなかった場合は、放射線治療が選択肢となります。

ただし、放射線治療は大学病院のほか、2次診療を行う動物病院でも施術が可能となりましたが、まだハードルは高い治療内容ですので、すべての飼い主様が選択するというわけではありません。

放射線治療ではなくさらに上の関節、肘もしくは膝などから断脚を選ぶ飼い主様もいらっしゃいます。

こういった難しいケースの場合はよくご相談させていただきながら、治療を進めさせて頂ければと思います。

肺指症候群について

猫の爪下に腫瘍が出来た場合は、要注意が必要です。

なぜなら、その爪下の腫瘍の原因が、肺癌からの転移であることがあるからです。

これを肺指症候群といい、猫の足先に腫瘍が出来た場合は、胸部のレントゲンを撮ることが必須となります。

もし胸部に腫瘍と思われるものが存在した場合、その予後はかなり悪くなります。

したがって手術を行うメリットがそれほどないうえ、麻酔自体のリスクも高くなるので、手術を回避する選択を選ぶことが一般的です。

セカンドセレクトではそういった猫に対しての緩和治療も行っておりますので、ご心配な点がありましたらいつでもご相談ください。

まとめ

人間でも足の裏にほくろが出来たら要注意などと言われていますが、ほくろに限らず、足先にできるしこりには厄介なものが多数あります。

もし何気なく足を見たときに何か出来物らしきものを発見したら・・・いつでもお気兼ねなくご来院ください。