眼の異常というのは、他の異常に比べると意外とわかりやすいと思います。

人間も同じですが、ペットでも目に何か違和感を感じると目を細めてしまったり、開かなくなったり、時には涙や目やにが多く出るようなこともあります。

そういった目に異常を起こす病気の中でも、ひときわ目立つ病気としては「ホルネル症候群」と言われるものがあります。

あまり聞きなれない病気かもしれませんが、今回はこのホルネル症候群についてご説明したいと思います。

ホルネル症候群とは?

眼や鼻、耳などの顔にある感覚器は、その情報を脳につたる役目をしています。

したがってより多くの情報が得られるように、感覚器の運動能力も脳から直接出る神経によって統制されています。

眼であれば、瞼を閉じる、瞳孔が開くなどの調整も脳から直接出る神経によって、無意識のうちにできるようになっています。

ホルネル症候群は脳から出た目の運動を統制する神経のどこかに障害があるために出る症状の総称になります。

神経的な統制が取れなくなってしまうため、一般的なホルネル症候群の症状は瞼が垂れ、瞬膜が露出し、瞳孔が縮瞳します。

ホルネル症候群の原因

脳からでた神経は脊髄の中を通り、首のあたりから分岐してから大きく迂回し、首の動脈と並行して顎の下から入って目につながります。

ホルネル症候群はこの神経のどこに障害があっても症状が発生します。

例えば脳に腫瘍や梗塞が起こり神経に障害が出ることによって起こることもあれば、事故やけがなどで首の付け根あたりを損傷しても症状が出ます。

実際にはこれらの原因はどちらかといえばまれであり、一般的に起こりやすいのが中耳炎や内耳炎を起こし、その炎症が耳のそばを通過する神経の方に影響を与えるか、特発性と言って原因がよくわからないタイプかどちらかになると思います。

中耳炎や内耳炎から発生する場合は原因の追究はしやすいのですが、特発性の場合はMRIやCTなどを使用しても損傷している神経の個所は特定することはできません。

特発性のホルネル症候群は犬でも猫でも見られることがありますが、犬の場合は特定の犬種に多く、ゴールデンレトリバーには多く発生すると言われています。

治療と予後は?

もし何らかの明らかな原因が存在している場合は、その原因を取り除く治療を行います。

内耳炎や中耳炎であればその治療、頸部の損傷であればその治療、難しいとは思いますが脳が原因であればその治療を行います。

予後はその基礎疾患の重度にもよりますが、たいていの場合は症状は完全に消失しないことが多いと思います。

原因不明の特発性の場合は基本的には無治療で様子を見ていくか、ステロイドを2週間程度使用して経過を観察するかどちらかの方法になります。

正直予後はまちまちで、2~3週程度で治まる場合もあれば、半年ぐらいして突然治まることもあります。

後遺症として症状が残ることもあるのですが、ほとんどの場合、日常生活には影響が出ることほとんどないので、気長に待つしかありません。

まとめ

眼という感覚器は緻密であるがゆえ、再生がききません。

何かしらの異常があった場合はあまり様子を見ず、早めに受診していただくようお勧めします。

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