一口に皮膚の病気と言っても色々な原因があります。
動物病院に来院する皮膚病の原因で一番多いのがアレルギー性の皮膚炎で、犬や猫の皮膚病の原因の大半を占めます。
一方で症例の数はあまり多くはないのですが、時々発生する病気としては免疫介在性の皮膚病があげられます。
自己免疫の異常による皮膚病はその種類も多く、症状の様子も動物によってまちまちです。
今回はそういった免疫が絡んでるであろう病気のひとつ、無菌性結節性脂肪織炎をご説明します。
無菌性結節性脂肪織炎とは
皮膚組織の下には皮下脂肪がありますが、この脂肪組織が炎症を起こしたものの中で、原因が明らかでないものをとりあえず無菌性結節性脂肪織炎と呼んでいます。
猫ではまれですが、犬では時折みられるもので、Mダックスが圧倒的に多いと言われていますが、他の犬種でも見られます。
典型的な症状としては、皮膚の下に触れるようなしこりがあり、皮膚の表面には潰瘍になったり、小さな瘻孔が形成され、そこからねばりっけのある白っぽい液が常に分泌されます。
しこりは単発の場合もあれば、多発性の場合もあります。
皮膚病変以外では発熱や食欲不振などが見られることもあります。
また、他の免疫疾患と併発して見られるようなこともあり、多発性関節炎などの犬では皮膚病変として見られることもあります。
治療法は?
無菌性結節性脂肪織炎という病名ですので、病変部位からは細菌などは見られないことが通常です。
ただし、潰瘍が長期間起こり、動物がなめてしまい2次的に感染を起こしていることもあるので、完全に無菌である状態でないことも多くあります。
通常は典型的な皮膚病変の所見と、ミニチュアダックスやトイプードル、コリー犬種などの好発犬種での発生であれば、無菌性結節性脂肪織炎と仮診断し治療を行っていきます。
治療法はもっぱらステロイド、もしくはそのほかの免疫抑制剤を使用していきます。
治療に対する反応は個体によって異なり、治療をしても完全に症状が消失しない、消失してもすぐに再発する、そのうち薬を使用しなくても再発しなくなるなど、色々な予後があります。
どちらかと言えば、継続的に薬を使用しながら経過を観察しないとすぐに再発することが多いとは思います。
そういった場合、ステロイドやそのほかの免疫抑制剤は、長期的に使用した場合は副作用が見られることもあるので、副作用が出ていないかを定期的に血液検査などで観察していく必要があります。
まとめ
大体の皮膚病は慢性的な経過をたどることがほとんどです。
セカンドセレクトでは、皮膚病専門医ともリモート診療を行っていますので、普通の動物病院よりは専門的な治療をすることができます。
もしこの記事を読んで、「おや?」と思い当たるような症状が出たときには、いつでもお気兼ねなくご相談ください。