動物の免疫システムは外からやってくる細菌やウイルスから身を守るだけでなく、体の中で偶発的に発生する腫瘍を抑える役目もあります。

こういった免疫システムの能力は年齢とともに段々と失われていくため、年を重ねると感染症などの病気になりやすいだけでなく、腫瘍もできやすくなります。

また腫瘍細胞は全身どこの臓器からも発生するのですが、動物病院で遭遇する腫瘍なかでも乳腺や生殖器から発生する腫瘍がよく診らるため、腫瘍が原因での来院率はオスよりもメスの方が多いと思います。

今回は年齢をかさねたメスの犬でよく見られる良性の腫瘍、膣ポリープについてご説明したいと思います。

膣ポリープとは?

膣ポリープは未避妊の高齢のメス犬ではよくみられる腫瘍です。

なぜなら一般的に生殖器から発生する何らかの腫瘍は、性ホルモンに大きく影響されるからです。

通常は膣内から発生しますが、できた当初は膣内にあるため、外見上からもわからないですし、症状もありません。

ポリープはドーム状というよりは、ひょうたんや売りのような形をしているので、ポリープが大きくなるとその先端が陰部から露出されます。

多くの場合、この時点で飼い主様が気づき動物病院に連れてくるのですが、この時点でもあまり症状はありません。

たまに直接地面に擦れたり、犬自体が気にして噛んだりして傷ついたりすることもありますが、それ以上の症状が出ることはないと思います。

治療法は?

治療法はもっぱら外科手術になります。

腫瘍の発生は性ホルモンとの関連性があるため、手術と同時に避妊手術を行うことがよいとされています。

またポリープの根が膣の奥に入り込んでいるため、陰部を切開する必要もあります。

ただし、こういった処置は全身麻酔を使用し行うのですが、ポリープを発見した時には全身麻酔を使用するのにためらう年齢であることが多いのが問題となります。

放っておいても一般状態を低下させることはあまりないのですが、ポリープ自体が傷つき潰瘍を起こしてしまうこともあるため、何かしらの処置が必要になります。

そういった場合、セカンドセレクトでは簡易的にポリープを結紮し切除することをお勧めしています。

簡易的に切除した場合、たまに再発することもあるのと、出血しやすい箇所になるためあまり大きく太いポリープには不向きであるのですが、全身麻酔を使用せず切除できるメリットは大きいと思います。

処置時間は5分程度、5000円程度の処置量になります。

まとめ

年齢を重ねるとイボのような、あまり健康には関係のないものが多く発生しますが、発生した場所によってはなんでもないものでも、結構生活の質を落とす原因になることもあります。

ちょっとしたことなんだけど、何とかならないかなぁという些細なことでも構いませんので、何かありましたらお気兼ねなくご相談ください。

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