体は様々な細胞で構成されていますが、どの細胞も腫瘍に変化する可能性を持っています。

年齢を重ねればその確率は増えていくので、中高齢以降に腫瘍の発生率が高くなるのは自然の道理かもしれません。

腫瘍は発生する場所によって見つけやすいものもあれば、見つけにくいものもあり、特に体の表面にできる腫瘍は飼い主様が異変に気付くこともよくあります。

今回はそんなある意味気づきやすい腫瘍の一つ、甲状腺の腫瘍についてご説明したいと思います。

甲状腺腫瘍はどんな腫瘍?

甲状腺は首にある内分泌器官で、主に甲状腺ホルモンを合成、分泌しています。

正常な甲状腺はほとんど触知することはできなく、硬い気管支の突起のみ触ることができます。

甲状腺が腫瘍化するとほとんどの場合は片側性に腫大するため、左右どちら側が気管支よりもやや柔らかめのしこりが喉の中央やや上寄りで触れるようになります。

ちなみにあまり正確な話ではないのですが、悪性の甲状腺腫瘍の場合、しこりは気管支にへばりつくように固着していることが多く、反対にしこりがぐりぐり動くような場合にはあまり悪性度が高くない、もしくは良性の腫瘍のケースが多いと思います。

触ると明らかなしこりが感じ取れるので、ほとんど場合は飼い主様がそれに気づき来院されることがほとんどだと思います。

甲状腺腫瘍は悪性の場合、非常に強い増殖性と転移性を持っているため、動物病院に来院した際にはすでに甲状腺周囲の組織に腫瘍の組織が入り込んだり、肺や肝臓などに転移をしていることが多いと思います。

ただこういったケースでも犬の場合はほとんど自覚症状がなく、元気や食欲にも影響が出ていないことがほとんどです。

逆に猫の場合は、甲状腺腫瘍による甲状腺機能が過剰に活発化するため、甲状腺機能亢進症様の症状を起こしていることがほとんどです。

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治療法と予後について

リンパ腫や白血病などの血液の癌以外の腫瘍の治療法の第一選択は外科手術による切除であり、それは甲状腺腫瘍も同様です。

ただ甲状腺腫瘍の場合は、周りの組織への浸潤性も非常に強いため、多くの場合で完全に摘出が難しいもしくは術後の後遺症が強く出ます。

これは経験則にはなりますが、甲状腺の腫瘍が片側性でかつぐりぐりと容易に動く場合は完全切除しやすいことが多いので、積極的に外科的な介入を検討した方がいいと言われています。

この場合、予後は極めて良く、また術後の影響もあまり残らないことが多いと思います。

問題は周りの組織と固着してあまり動かない場合です。

このケースの場合、頚部にある神経や大きな血管などを大きく巻き込んでいるケースも多いため、外科的な摘出はかなり困難になります。

また転移をしている場合も同様で、手術をしたとしても術後の予後は極めて悪いケースも多く、手術を行ったことのメリットを享受できないことも多いと思います。

セカンドセレクトではそのような場合、分子標的薬であるトセラニブという薬を使用して経過を観察することもお勧めしています。

甲状腺腫瘍のような固定癌は、元来、抗がん剤などの化学療法にはあまり反応がないことが多いのですが、こういった分子標的薬は効能外処方にはなるのですが、効果があるという文献も多く、割と多く動物病院でも使用している薬です。

食欲不振などの副作用が出やすいのですが、手術が困難、もしくは手術を回避すべき状況であれば使用を積極的に考えてもいいと思います。

まとめ

ペットも寿命もどんどん長くなってきているので、人間同様、高齢が故になりやすい病気も多くなってきています。

腫瘍はそういった病気の中の一つのものだと思いますが、セカンドセレクトでは多くの腫瘍の治療を行っていますので、なにかお困りの際にはお気兼ねなくご相談ください。

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