人間の子供も手のかかることは多いと思いますが、仔猫や仔犬も勿論、色々と手がかかります。
さっきまで元気だったと思ったら、突然調子が悪くなっている・・・こんなことを経験した飼い主様は多いのではないでしょうか?
仔犬や仔猫の体調不良の中で大きく占めるのが下痢や吐き気です。
ほとんどの場合は一過性で終わってしまうのですが、まれになかなか治らず、急速に衰弱していくこともあります。
こういったなかなか治らない下痢や吐き気の一つに腸重積というものがあります。
今回は特に若い犬で多い腸重積についてご説明したいと思います。
腸重積とは?
腸重積は腸の一部が何らかの理由で腸の中に陥入する病気です。
ひも状の異物により物理的に重責を起こしている場合もあれば、消化管内の寄生虫やそのほかの原因により、慢性的な腸炎を引き起こしているような仔犬に多いとされていますが、特定の原因が見つからないことも非常に多く、また比較的若い猫でも見られる病気です。
腸重積を起こした犬や猫はあまり投薬による治療に反応しない、もしくは一度よくなったと思ってもすぐに再発するような下痢、嘔吐などが見られます。
食欲不振もよく見られる症状なのですが、わりと体調に波があることが多く、しばしば診断に苦慮することもあります。
典型的な症状の場合、腹部を入念に触診すると腸の一部が固くなっているような場所を見つけることができるのですが、犬の場合などは腹部の疼痛により腹圧が上昇し、あまりうまく触知できないことがあります。
レントゲンでも診断がつくこともあるのですが、はっきりとした画像が得られないことも多く、バリウム検査でも完全な閉塞所見が見られないため、これらの検査ではあまり診断がつけられないことが多いと思います。
診断にはエコー検査が有用ですが、基本的にエコー検査は病変部を検索するのには適していないため、触診で疑わしい箇所が見つからなかった場合にはなかなか診断をつけるのは容易ではありません。
結局のところ、多くの場合では犬や猫の年齢、病状などから仮診断を付けていくことが多く、後付けで検査や治療を行っていくことがほとんどです。
治療法は?
基本的には外科手術が唯一の治療法になります。
腸重積を起こしている腸の箇所は、重積部を解除したときにあまり損傷がないように見えたとしても、高い確率で再陥入をおこすため、重積が見られている腸を切除し、正常な腸同士を吻合する必要があります。
手術後の調子は速やかに回復することが多いのですが、2日から3日程度の絶飲絶食が必要なため、基本的には入院が必要になります。
手術のリスクとしては腸の吻合手術はまれに癒合不全を起こし、術後の状態を悪化させることもあります。
また腸重積を起こす特定の原因がみあたらないことが多いので、手術後に別の箇所で再発することもあります。
こういった様々な手術のリスクはあるのですが、手術以外には治癒する方法がないため、飼い主様にとっては苦渋の選択になると思います。
まとめ
家に来て間もないような若い犬や猫が調子をいきなり崩すことはよくあるのですが、飼い主様も初めての経験であることが多く、迷われることも多いと思います。
セカンドセレクトでは軟部外科を中心に様々な外科手術を行っていますので、何か異変を感じた際はいつでもご来院下さい。