ニュースでも大々的に報道されていましたが、動物愛護法が改正されました。
この法律は1973年に施行されて以来、しばらく法改正はなかったのですが、おりしもペットブームが拡がり、1999年からはより動物に対する愛情を念頭に置いた法律に変わりました。
以降、おおよそ5年の周期で法改正があり、2019年の6月にも改正案が国会を通過しました。
変更点は色々あったので、詳しくはグーグルさんで確認してもらえたらと思うのですが、今回ご説明したいことはマイクロチップに関してです。
改正された法律では、マイクロチップが3年の移行期間を経て、ペットのうち犬、猫に関しては完全義務化になります。
セカンドセレクトでもマイクロチップに関してのお問い合わせが何件かありました。
今回の記事がご参考になればと思います。
マイクチップの挿入方法は?
マイクロチップは注射器のような形をした専用のキットを用いて挿入します。
針先にチップが埋蔵してあり、動物の皮下にマイクロチップを挿入します。
ワクチンや普通の注射を打つ時と同じように使用するため、普通の診察中に簡単に挿入することが出来ます。
ただし針の太さは太めです。
写真で言うと、右側がワクチンなどのときに使用する針です。
左側はマイクロチップを挿入する際に使用する針です。
写真で見ても太さの違いはかなり判ると思います。
「痛がって暴れませんか?」という質問をよく受けますが、特別に挿入するのを嫌がってできなかったという経験はありません。
それほど出血が多かったということもありません。
ただし、見た目はとても痛そうなので、去勢・避妊手術で麻酔をかけた際に挿入することが多いと思います。
マイクロチップの料金は?手続きはどうする?
セカンドセレクトではマイクロチップの挿入は5000円で行っています。
挿入後、書類を書いていただくことになります。
病院では挿入した際に使用したマイクロチップのシリアルナンバーがバーコード化されたものを、添付して書類をお渡しします。
飼い主様はその後、ご自身でIDの登録費用の1000円を振り込んでいただき、登録用紙とともに振込用紙を日本獣医師会に送付して登録が終了します。
申請後おおよそ半月ぐらいで登録終了の案内とともに、登録変更用紙などが登録した住所に返信されます。
後に転居などあった場合はそちらの用紙を使用し、改めて登録内容の変更をすることができます。
実際に使用する際はどうしてるの?
マイクロチップには磁気機能が備わっており、専用のリーダーにて読み取ることが出来ます。
リーダーが読み取った個体登録番号にてシリアルナンバーは読み取れるのですが、残念ながら動物病院では登録情報はわかりません。
日本獣医師会によれば、現在のところ特定の施設においては検索用のパスワードを用いて飼い主様情報を検索することができるそうです。
ただ、個人情報の保護の観点から、民間の営利施設が持つことはないと思います。
マイクロチップ内の情報を調べるためには、大抵の場合、直接日本獣医師会に問い合わせるしかありません。
マイクロチップの副作用は?
基本的にほぼないと言われていますが、「0」ではないと思います。
あくまでも公式の発表ではありませんが、猫がマイクロチップ挿入後、挿入場所をひどく掻き壊したなどの話は聞いたことがあります。
マイクロチップの表面は特殊加工されているため、体内で移動するとかアレルギー反応が出るなどは理論上ないとされていますが、以前に前腕の肘あたりまでマイクロチップが移動していた犬を見たことはあります。
挿入時に、挿入個所を誤ったということがなければ、だいぶと移動したのだなぁとその時には思いました。
獣医師としてマイクロチップの一番の弊害は、MRIを利用したいときにマイクロチップの周囲は撮影できないということだと思います。
特に頚椎ヘルニアなどの診断のために、頸部のMRIを撮影する際には、挿入個所によっては診断がつきにくいこともあります。
将来的に頚椎の病気が好発するような犬種や猫では、慎重に挿入する必要があると思います。
まとめ
超個人的な意見にはなりますが、どうせ動物愛護法を改正するのであれば、もっと他のところを改正してほしかったなと思います。
あくまでの個人的な意見ですが・・・。
とりあえず、セカンドセレクトではマイクロチップはいつでも挿入できますので、いつでもお気軽にご来院ください。