特に犬を飼われている飼い主様とっては、これからの季節は色々と犬の予防のシーズンが始まります。
狂犬病のワクチンや混合ワクチン、フィラリアの予防に加え、ノミやダニの予防なども これからの時期は必要になってきます。
今回、ちょっとしたご案内をさせていただきたいのは混合ワクチンについてです。
混合ワクチンについての問い合わせをよく頂くので、今回は春先の予防シーズンの前によくあるご質問についてご説明いたします。
そもそも混合ワクチンって何?
混合ワクチンは狂犬病のワクチンとは別のものとして動物病院で接種することが出来ます。
狂犬病ワクチンは接種は義務ですが、混合ワクチンについてはあくまでも飼い主様の任意になります。
ワクチンによって3種とか5種、6種、8種、9種、12種と呼ばれているのは、ワクチンによって予防できる病気の種類の数が異なるからです。
とはいっても、基本的にワクチンメーカーによって種類が変わることはほとんどありませんし、ワクチンの効能が異なることもありません。
混合ワクチンは「コアワクチンウイルス」と呼ばれているものと「ノンコアワクチンウイルス」と呼ばれているものが混合されています。
コアワクチンとは、絶対に予防をした方がいい病気のワクチンのことで、ジステンパーウイルス、パルボウイルス、アデノウイルスになります。
一方でノンコアワクチンは、パラインフルエンザウイルス、レプトスピラなどが含まれています。
どの種類の混合ワクチンにもコアワクチンは含まれており、数が増えるごとにノンコアワクチンが混合ワクチンに追加されています。
1年に1回、絶対に接種するもの?
どこかで聞いたことがあるかもしれませんが、1年に1回の混合ワクチン接種は慣例のみであり、医学的な根拠はあまりありません。
3年に1回の接種を提唱している先生もいらっしゃいます。
人間のインフルエンザのように、その年によって発生するウイルス型が異なるのであればその都度接種は必要ですが、犬の混合ワクチンについてはそういったことはありません。
実際にワクチンの説明書にも、4週齢以上の犬に3~4週間隔で2回接種するとしか書いていません。
成犬の予防接種の間隔についてはあくまでも獣医師の判断でということになります。
今のところ言われている最も理想的なワクチンプログラムとしては
- 初年度のワクチンについては複数回接種
- それ以降のワクチン接種についてはワクチン抗体価を測定(5000円)
- ワクチン抗体価が十分であればワクチン接種不要。1年後に再測定。不十分であればワクチン接種をおこなう。
というのが本来のやり方になります。
抗体検査は以前に比べると簡易的に行うことができるようになったのですが、それでも2度手間になることも多いため、いまのところはまだ1年に1回のワクチン接種が全国の動物病院では主流なやり方です。
セカンドセレクトでも疾患がない犬に関しては1年に1回接種をご案内しています。
使用制限対象の犬、もしくはできる限りワクチン接種を行いたくないという飼い主様には抗体検査をお勧めしていますので、お気軽にお問い合わせください。
ちなみに使用制限対象とは以下の通りですので、該当する場合はお気兼ねなくご相談ください。
- 発熱、下痢、重度の皮膚疾患などの病気がある犬
- 何かしらの病気を治療中
- 以前の注射で異常が見られたもの
- 発情中もしくは授乳中の犬。ちなみに妊娠犬には接種しないように注意書きにあります。
- 寄生虫感染のある犬
- あきらかな栄養障害のある犬
- 高齢犬
- 他の薬剤投与後、まだ日が浅い犬
- 重度の興奮状態の犬
- 1年以内にてんかん様の発作がある犬
セカンドセレクトで取り扱いのある犬用ワクチン
セカンドセレクトでは犬用のワクチンとして5種混合とレプトスピラワクチンを常備しています。
まず、都内のみで生活しているような犬であれば5種混合ワクチン(5000円)で十分だと思います。
レプトスピラは届出伝染病と言って、人間にも感染する重篤な症状を出す病気であるため、厚生省の管轄で発生状況をインターネット上でも公表しています。
東京都での報告件数は多そうに見えますが、おそらく旅行などで地方で感染し、東京で発見されているだけだと思います。
レプトスピラのワクチン(3000円)は発生の多い地域に一緒にご旅行に行かれる前には接種したほうがいいと思いますので、ご旅行先にレプトスピラの発生があるかどうか事前に調べておいた方が安全です。
もともとレプトスピラのワクチンがコアワクチンなどと混合されている8種混合、9種混合などがありますが、セカンドセレクトでは今のところ取り扱いの予定はありません。
これらの混合ワクチンにはコロナウイルスのワクチンが含まれているのですが、世界的な基準で非推奨、つまり接種しない方がいいと言われているからです。
ワクチンは異物ですし、薬事法としての取り扱いでは劇薬として使用されています。
不要な劇薬の投与は当然避けるべきだとぼく自身は考えています。
他の動物病院よりも混合ワクチンの種類が少ないから心配というお話をお聞きすることもあるのですが、混合ワクチンは基本的に5種で十分ですので、ご心配せずワクチンの接種にいらっしゃっていただければと思います。
まとめ
ワクチン接種について長々書いてしまったので、なんかめんどくさそうと思われたかもしれません・・・。
実際にはそんなに煩雑なものではないので、ワクチン接種をご希望の際にはどうぞお気軽にご来院ください!