猫は病気を隠すのがうまい動物だと常々思います。

調子が良い時でも、一日中ずっと寝ていることは珍しくないことですし、調子を崩した時などは目立たないところでひっそり隠れていることも猫の習性です。

とくに猫の消化器症状は本当に気付きにくく、例えば異物を食べたとしても、それに気づくまでにしばしば長い時間がかかることもあります。

消化器症状を引き起こす原因はいろいろありますが、そのどれもが気付きにくいものです。

このあたりが犬と大きく異なるところだと思います。

今回の記事では、特に猫の消化器症状の中でも気づきにくい「膵炎」についてご説明したいと思います。

そもそも膵臓って何?

膵臓は胃と十二指腸にへばりつくような位置にある臓器で、分泌腺をふんだんに含んでいるため、見た目は脂肪のような柔らかい構造でできています。

膵臓の主な役目は色々な消化液を合成し、細い管を通って十二指腸に分泌されます。

膵臓から出る膵液は、脂肪やたんぱく、炭水化物といった体に必要な栄養素の分解を行い、腸からの栄養吸収に大きな役割をしています。

またインスリンというホルモンを分泌し、血糖値をコントロールする重要な役目を担っています。

猫の膵炎とは?

人間や犬の膵炎の場合、その大きな原因の一つは、腸炎から発生した2次的な膵炎であることがほとんどです。

腸内環境の悪化にともない増加した腸内の悪玉菌やその毒素が、膵臓と腸管をつなぐ細い管を逆流し感染を起こさせます。

一方で猫の場合は、無菌的に膵炎が特発的に起こることが多く、多くの場合、発熱もなく段々と食欲不振や嘔吐が頻発し、体重が減少していきます。

猫の膵炎は特異的な症状はあまりなく、またその症状もあまり激烈でないため、しばしば発見が遅れ、治療も後手後手になることがあります。

猫の膵炎の原因は、免疫学的な問題が多いとされ、同時に胆嚢と腸管を結ぶ胆管と腸そのものにも特発的、無菌的な炎症が起こることが多く、腸炎、胆管炎、膵炎を同時に起こしていることもよくあります。

少々昔の表現になるかもしれませんが、これら3つの臓器が同時に炎症を起こす病態を3臓器炎などと言います。

検査や治療法は?

繰り返しになりますが、猫の膵炎は特異的な症状にかけるため、ルーチンな検査項目にはあまり含まれません。

ですが、ぼくが獣医になりたての頃に、外注検査で猫の膵炎は血液検査で簡単にわかるようになり、以前に比べると検査の機会は増えては来ています。

また、院内で行える簡易的な検査キットもありますので、ご希望があればすぐ検査することもできます。

治療は一般的にはステロイドを主体とした治療になることも多く、アレルギーの除去食などを使用しながら経過を観察していきます。

残念ながすっきり治るということはあまりなく、慢性的な経過をたどることがほとんどですので、結果として投薬期間も長期的になることがほとんどです。

下痢や嘔吐が頻発する場合は、膵臓だけでなく、腸の方にも病変があることが多いので、内視鏡下での細胞診が必要になることもあります。

セカンドセレクトでは現在のところ、内視鏡検査は専門病院を紹介していますが、少し気になる方はお気兼ねなくご相談ください。

猫の膵炎は膵臓の機能不全を引き起こし、糖尿病を併発することも多くあるため、十分注意をして治療をすすめないといけないため、しっかりと治療計画を練っていきましょう。

まとめ

猫の病気の管理は、どんな病気だったとしても大変だと思います。

セカンドセレクトでは院内だけでなく、往診でもこういった慢性疾患の治療のお手伝いをしています。

ご自宅で飼われている猫の、なんか元気がなく食欲がないといったような、病院に連れて行くべきかどうかという段階からでもお気兼ねなくご相談ください。

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