こんにちは、セカンドセレクト獣医師の斉藤です。

もともと日本では小型犬種が人気犬種の上位を占めていました。

飼い犬の最近の兆候として、トイプードルやチワワなどの小型犬の飼育頭数が増えただけでなく、小型犬のさらなる小型化が非常に目立つようになっています。

小型化になったとしても、動きの激しさは変わらず、しばしば飼い主様の不安の種になることもあります。

獣医師としても小型化した犬たちを見ていると、骨折のリスクや特に関節疾患など様々な問題については心配な時も多くあります。

今回はそんな小型犬に多い代表的な関節の疾患、「膝蓋骨の内方脱臼」についてご説明したいと思います。

ところで膝蓋骨って何?

膝蓋骨は通称「膝のお皿」と呼ばれている小さな骨になります。

大腿骨と呼ばれる太ももの骨にある溝の上をスライドすることで、スムーズな膝の屈伸が行うことを助けてくれる小さな骨になります。

膝蓋骨は他の骨と違い、レントゲンでみてもちょっと浮いているようにも見えます。

実際、膝蓋骨は細い靭帯のみで付着しているような状態なので、ひざの溝の状態によりけりでは簡単に溝を逸脱して、簡単に脱臼を起こしてしまいます。

さわっても痛がらない脱臼

小型犬では膝蓋骨が脱臼を起こすことは普通にあることで、ほとんどの場合は無症状です。

飼い主様の中には、自分の犬に健康上全く問題がないと思っていても、動物病院で診察を受けたときに、膝のお皿が脱臼していると獣医師に言われて驚かれた飼い主様も多いと思います。

また膝蓋骨の脱臼により実際に軽くびっこを引いた犬を触っても痛がらないことも多く、症状が重篤化することはかなりまれです。

上の写真の右側のように常に脱臼をしているような犬でも、4つ足で歩行するため1つの足にかかる体重の負担は少ないため、びっこもそれほど目立ちません。

手術は必要?

たいていの場合、膝蓋骨の脱臼が重篤化するケースは仔犬のころから関節の変形がひどい場合か、もともと脱臼の程度がひどい犬がさらに外傷的な要因が加わり、脱臼が治らなくなる場合が多いと思います。

これらのケースでの問題は膝蓋骨が脱臼していることだけではなく、下腿骨と呼ばれるすねの骨自体が内転して関節自体が大きく変形してしまっていることが関節を重篤な症状にしています。

重度の関節の変形を伴った犬では膝の進展すらできなくなるため、常に膝が曲がった状態で過ごさざる得ない状況になります。

こういった場合は年齢にもよるとは思いますが、積極的な外科の介入をするべきだとは思います。

問題はあまり自覚症状がない、もしくはあってもすぐに治ってしまう場合です。

こういった犬を飼われている飼い主様は、獣医師から手術を勧められたとしても、症状はあまり顕在化していないため、するべきかどうかを悩まれる飼い主様が多いと思います。

膝蓋骨は命にかかわるようなものではないので、実際には飼い主様の判断にゆだねることにはなると思います。

ぼくの個人的な意見で言えば、先ほども書いた通り、最初から持っているような関節自体の変形か、よほどの外傷がなければ重篤化することはほとんどないので、それほど積極的に外科の介入をする必要はないとは思います。

ちなみに手術の方法はいろいろ考案されているのですが、代表的なものは膝の溝を深くする手術です。

下腿骨の捻転が強くみられる場合には、インプラントを使用し、膝蓋骨が付着している靭帯を少し外側に骨ごと移植する手術をします。

どちらも関節の変形があまり進んでいなければ予後はいいことが多いのですが、膝関節のの進展自体が出来ないぐらいに変形して待っていた場合は、靭帯自体が委縮しているため、術後にも後遺症が残ることが多いと思います。

まとめ

セカンドセレクトでは関節の整形外科手術は行っていないため、専門性のある2次診療の病院をご紹介しています。

ただ、手術をするべきかどうか悩まれている飼い主様のご相談を受けることは多く、可能な限り犬自体の状況、飼い主様のお気持ちなどを汲んでアドバイスさせていただいています。

もしご自宅でにいる犬が頻繁に後ろ足をびっこつするようであれば、いつでもお気兼ねなくご相談ください。