以前このブログの記事でもご紹介しましたが、猫が高齢になったらなりやすい病気はいくつかります。
腎不全は高齢な猫にとって避けては通れないものです。
また、口内炎も高齢期の猫に表れやすい症状です。
それともう一つ、猫だけでなく飼い主様にとっても大きな悩みになるのが、「便秘」になります。
猫の便秘は最初のうちは、便が3日に1回になるなどの症状だけなのですが、症状が進むと排便時のイキミがひどくなり、嘔吐を繰り返したり、食欲不振なども引き起こします。
さらに便秘がひどくなると、食事や下剤などの投薬だけでは管理しきれず、定期的に浣腸や摘便などの処置を行う必要があります。
とはいっても老猫を動物病院につていてくのは中々大変なもの。
こういったときには往診を検討してみてはいかがでしょうか?
今回はそういった重度の便秘を患った老猫の往診での様子をご説明したいと思います。
そもそもなぜ便秘症になるの?
猫の便秘はいろいろな要因が絡んで起こると言われています。
肥満や毛玉による生理的な要因や、トイレの管理不十分などの環境的な要因など色々なものが絡んで便秘になると言われていますが、そのような要因にあてはまらない猫でもよく便秘症にはなります。
個人的な意見ではそもそも猫は便秘になりやすい動物だというしか、猫の便秘の原因をうまく説明できなのではと思っています。
そういったもともとの体質に加え、猫は高齢になると腎不全などの要因が加わり常に脱水傾向となるため、便が硬くなりやすくなり、さらにその症状が顕著になってきます。
あまりにも長期的な便秘が続くと、肛門近くの腸の収縮力が低下します。
これを巨大結腸症と言い、便秘症の猫の最終的な段階となります。
便秘に対しての初期治療
便秘の初期治療では食事療法が一般的です。
処方食によって以前に比べるとだいぶと便秘のコントロールはやりやすくなりました。
以前使用していたような下剤のような緩下剤は、食事のみで便が管理しきれないときのみ使用します。
こういった処方食や内服薬で排便障害がコントロールできなくなると、いよいよ人の手で排便を行わないといけなくなります。
ぼく個人ではあまり浣腸というものを行いません。
過去に何度か浣腸により過度に猫がいきみだし、失神したり最悪のケースを招いたりした現場に遭遇したことがあるからです。
やせ形の猫で便もそれほど難くなければ、おなかをマッサージしながら排便を促すこともできますし、かなり頑固な宿便が残っている場合は直接肛門から指を入れて便を掻き出します。
こういった処置を週に1回程度行うことが猫の便秘症の基本的な治療法となります。
往診でできること
今回お伺いした猫は20歳近い高齢の猫でした。
以前から便秘がちで、処方食と緩下剤を定期的に服用して様子を見ていましたが、最近になっていきむ様子がひどくなり、定期的に動物病院に通院されるようになりました。
もともと性格的に少しやんちゃなところもあり、ご自宅と動物病院との移動のストレスが非常に大きいこと、処置後に嘔吐をしたりなど負担の部分が目立つようになり、往診をご依頼されるようになりました。
最初は全体的な触診を行い、どれくらい便がたまっているのかチェックしていきます。
セカンドセレクトではあまり浣腸は行いません。
今回の猫もそれほど便は硬くなかったため、おなかをマッサージしながら排便を促すような処置を行いました。
所要時間はおおよそ5分程度です。
高齢なのとおそらく腎不全があるためか、中等度の脱水が見られたため、皮下補液を行い処置はおわりました。
ご費用は再診料が2000円、摘便処置が1000円、皮下補液が4000円となります。
この飼い主様は比較的近隣にお住まいだったため、往診料はかかりませんでした。
ちなみに猫が肥満気味だったり、過去にあった事故により骨盤がゆがんでいるような場合には、直接肛門に指を入れて排便処置を行います。
まとめ
快便は健康の源と言われますが、排泄が滞ると健康面には序実に影響が出てきます。
もしご自宅で飼っている猫が便秘がちになったら・・ご相談だけでも構いませんので、お気兼ねなくご連絡ください。