よく言われれることですが、動物病院は人間の小児科と一緒で、対象となる患者は自分の症状をうまく伝えることが出来ません。
そのため、どこが悪いのかもわからず、飼い主様が悶々とするケースが多いと思います。
そういった病気の中で、飼い主様からのご相談で特に多いのが、逆くしゃみという症状です。
特に小型犬を飼っている飼い主様なら、一度は見たことのある症状かもしれません。
今回の記事ではこの逆くしゃみについてご説明したいと思います。
逆くしゃみとは?
逆くしゃみは便宜上、くしゃみと名がついていますが、本当にくしゃみなのかどうかはよくわかりません。
特にチワワやトイ・プードルなどの小型犬に多くみられます。
言葉で説明するのは難しいのですが、犬や猫は時に目を半開きにして苦しそうに何かを鼻ですするような症状を見せます。
飼い主様もうまく説明できないので、たいていの場合は動画を使って「こんな感じですか?」と確認することもしばしばです。
よく使う典型的な症状がみられる動画は以下の通りです。
もし同じような症状であれば、それは逆くしゃみだと思います。
逆くしゃみの原因
逆くしゃみの原因は様々です。
気温差があったり、興奮したりした拍子にいきなり発生するような生理的なものがほとんどだと思います。
鼻の構造上、外から大きな異物が入り込むようなことはないのですが、犬歯周辺で起こった歯周炎や犬歯の根が化膿して、鼻腔内に多量の鼻汁が作られることによっておこることもあります。
とにかく、鼻腔内の違和感に対して、犬や猫がそれを取り去ろうとする一連の行動が逆くしゃみになります。
治療法は?
生理的なものであれば様子を見るしかないと思います。
4,5分様子を見ていると落ち着くことがほとんどですが、突発的に繰り返し起こることもあり、しばしば飼い主様の心配のもとになることもあります。
一方で、歯周病からくる逆くしゃみは最近の感染を起こしているため、軽度であれば点鼻などで対応していきますが、場合によっては抗生剤を長期的に服用したり、犬歯とその周辺の歯を抜歯する必要も出てきます。
特にミニチュアダックスで多いのですが、マズルが長い犬種ではそういった感染から出る膿が鼻腔内に停滞しやすく、蓄膿症を引き起こすケースもあり、治療の反応性も非常に悪いことが多いと思います。
こういった犬種ではさらに症状が進むと、喉の方に垂れてきた鼻水を誤嚥してしまい、肺炎を起こすケースもあります。
体力が十分であり、麻酔のリスクも低い症例であれば、CTとMRIを同時に使用し、鼻腔内の腫瘍や蓄膿の有無を確認し、治療に入ることもあります。
特に短頭種は鼻腔の腫瘍が多いため、画像診断は積極的に行ってもいいかもしれません。
ただ、いづれにせよ、症状が重い場合の有効な治療法はあまりなく、投薬を続けて様子を見ていくことになります。
まとめ
逆くしゃみのほとんどが様子を見ていいものです。
ですが、その見た目の症状は、「本当に大丈夫?」と確認したくなるようなものだだと思います。
大丈夫だと思っていても確認をしておきたければ・・・いつでもお気軽にご来院ください。https://www.youtube.com/watch?v=9hefQIi1Bck