猫も高齢になると色々な症状が出てきます。
以前のブログでもご紹介しましたが、腎不全、便秘、口内炎など、通常の生活に影響を与えるものも多く、老猫を飼われている飼い主様にとっては非常に心苦しい問題となります。
いくつかある症状の中でも、見た目の「派手」さでは、やはり痙攣を起こされるというのが飼い主様にとっては一番インパクトが大きいのではないでしょうか?
意識をなくし横たわり四肢を硬直させ激しく痙攣するだけでなく、舌をかんで口の中から出血したり、失禁や脱糞を起こすなど、見た目の症状は非常に深刻なものだと思います。
こういった痙攣は高齢猫にはよく起こる症状の一つです。
今回は高齢猫のそんな痙攣についてお話ししたいと思います。
痙攣の原因は?
高齢猫の発作の原因にはいくつかあります。
腎不全は原因の1つとしてよくあります。
腎不全の猫は体の老廃物が体外に排泄できないため、神経症状を引き起こすようなものも体の中に蓄積され、結果痙攣を引き起こします。
基本的には腎不全の中期から末期にかけて割と起こるので、体重の減少が著しいとか食欲不振が起こるなどの症状が同時に起こる場合は、腎不全を疑います。
また、腫瘍も大きな原因の一つとなります。
経験上、脳内の腫瘍というよりは鼻の奥にできた腫瘍が、最終的に脳を圧迫して痙攣を起こすことが多いと思います。
出血混じりの鼻水が出たり、目が腫れていたりしていたら要注意です。
いわゆるてんかん性の発作は最も一般的な発作の原因だと思います。
突発的になるので、普段は何の兆候もありませんし、検査をしても異常は見つかりません。
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痙攣を起こした時の対応法
基本的には何もしないのが一番です。
さすったりする方や、舌をつまらせないように口の中に手を入れたりする方もいらっしゃいますが、けがのもとになるのでやめた方がいいと思います。
まず発作がどれくらいの時間で終わるのか、冷静に観察してください。
また周りのものをどかして、発作中に猫がけがをしないように気をつけるのがいいと思います。
よく発作を抑える座薬などを処方する場合もありますが、ほとんど役に立ったか立たないか、よくわからない感じで終わってしまいます。
治療はするべき?
一般的には発作に対しては無治療でいいと思います。
無論、発作を起こすような腎不全などの原因があるのでれば、それを治療していきますが発作そのものには治療を行いません。
長時間止まらない発作が続く(10分以上)、短い発作が連続して起こり止まらない、発作が頻繁に起こるなどあって初めて治療が開始されます。
なぜなら、発作の治療薬とは予防薬であり、常に飲み続け発作を予防する薬になります。
副作用や毎日投薬するデメリットを考えると、軽い発作ならば治療する意義があまりないと個人的には思います。
ちなみに発作がない時に獣医師のところに行っても、基本的にはやることはありません。
経過観察のみになりますので、発作が起こった日にちなどをメモしておき、頻繁に起こるようであれば初めて相談に行ったほうがいいと思います。
まとめ
非常に心無い言い方かもしれませんが、発作の一番の処方箋は飼い主様が発作になれることだと思います。
長時間止まらないような重積状態と呼ばれる状態にならなければ、発作が与える影響はかなり軽微なものだからです。
ストレスや肉体的な負担をかけるとかえって発作の頻度が上がりますから、負担のない往診などを利用し、ご自宅の環境整備から獣医師と相談されるといいと思います。