医食同源などの言葉があるように、毎日の食事は健康のかなめです。
ただ、自分の食事のことでさえ、何を食べるのが一番体にとって良いのかわからないのに、犬の、ましてや高齢になった時の食事なんて思いつかない・・・という飼い主様は多いのではないでしょうか?
ぼく自身も診察をしている時には、食事の相談をよく受けることがあります。
今回は、そんな臨床獣医師として、経験則に元ずく高齢犬の食事のあり方についてご説明したいと思います。
あまり細かく考えない
高齢の犬の健康を考えてなんて言うと、かなり細かく気にされる方も多いと思います。
カロリーは取りすぎない方が良いとか、カルシウムが多い方がいいとか、炭水化物は控えるとか、色々な意見があって、もうどうしていいかわからないという飼い主様は結構いらっしゃいます。
元も子もないことを言うのであれば、高齢犬の食事は重篤な腎不全と心疾患がない限りは何を食べても結果はそう変わりません。
もちろん個人的な意見ですが・・・。
ぼくが思うに、高齢犬の健康とは、本来の寿命が人間よりも圧倒的に短いので、10年20年先の健康を考えるのでなく、せいぜい5年6年、場合によっては1年後の健康を考えればことが足ります。
したがって、何が一番いい食事かと言えば、喜んで食べてくれるのならば何でもいいといつも答えています。
高齢犬の一番避けたい状況は、食べないということなので、もし食べてくれないのであれば普段あげないようなものでも構いません。
老犬の理想的な食事はまずしっかりと食べてくれるものという風に考えてください。
ドッグフードが1番よいという固定概念をやめる
ドッグフードは安価で非常に便利ですので、そういった意味ではドッグフードを食べてくれるのであればそれがいいと思います。
ただ、ドッグフードが一番栄養のバランスなどがいいかといえば、決してそういうわけでもないので、何が何でもドッグフードを与えないといけないという考え方はやめたほうがいいと思います。
添加物などを気にする方もいらっしゃいますが、高齢犬にそれほど多大な影響が出るとは思えないので、それに関しては気にする必要はないのではないでしょうか?
細かい話で言えば・・・
栄養学のセオリーでいうのであれば、若い個体よりもたんぱくの含有量は抑えて、炭水化物の量を増やすほうがいいといわれています。
具体的に言うのであれば、タンパク質と炭水化物の重量は5:3程度。
残りはビタミンなどを含んだ繊維質を摂取するのが理想だといわれています。
市販のドッグフード、特に老犬用のドッグフードはタンパク質の量がかえって不足気味になるので、ある程度のタンパク質、例えば豚肉などを湯がいたものを足したほうが栄養的にはバランスが取れます。
足しておきたい栄養素
特に市販のドッグフード、または手作りで食事をつくている方でも、足したほうがいい栄養素として、ω3といわれる必須脂肪酸と善玉カルシウムといわれるものです。
ω3は関節の痛み、炎症を抑えるほか、細胞が劣化するのを防いでくれる栄養素ですが、一般的な食事では不足がちになります。
亜麻仁油やサーモン油によく含まれているので、いつもの食事に小さじ1杯程度加えておくのがよいと思います。
善玉カルシウムとは、普通のカルシウムよりも吸収が穏やかなため、骨や歯に沈着しやすいといわれています。
貝化石ソマチット、少し聞きなれないですが、ネットなどで簡単に手に入るサプリメントで補うことができます。
通常のサプリメントよりは効果が保てると、個人的には思います。
まとめ
いろいろ書きましたが、結局のところ食べてくれなければ意味がないので、食べてくれるものを食べさせるのがいいと思います。
まったく食べなくなった場合の対処法もありますので、このブログを参考にしていただくといいと思います。