年齢は等しく誰もがとっていくもの。
人間、犬に限らず色々な機能が老いとともに低下していきます。
年齢による衰えは完全に防ぐことはできませんが、事前に分かっていればある程度の対応ができることは多くあります。
そういった意味では、定期的な健康診断は欠かさずにいたいところです。
今回は高齢犬の健康診断で、どういったところを重点的にチェックするべきなのかご説明したいと思います。
一般的な血液検査
動物病院で行う血液検査は、人間で行うそれとほとんど一緒です。
肝臓や腎臓などの主要な臓器の他、血糖値、コレステロールなどのチェックを行います。
全身的なスクリーニング検査と呼ばれますが、残念ながら腫瘍のあるなしや、ある特定の疾患を精査するには困難な場合が多くあります。
ただし、全体的な体調の把握には非常に役立つので、理想を言えば6カ月に1度、できればフィラリアの時期などに合わせて1年に1回は行った方が良いと思います。
甲状腺機能低下症
甲状腺とは首の真ん中あたり、気管支の横にへばりついているような臓器です。
ここからは全身の代謝を調整するホルモンが分泌されており、甲状腺の機能が低下し、分泌される甲状腺ホルモンの量が低下することで現れる病気です。
柴犬や大型犬は特に高齢になると甲状腺機能低下症になることが多いのですが、人間の女性でも同様の病気を起こすことが多く、人間の場合は橋本病と呼ばれています。
この病気にかかった多くの犬が、皮膚病を併発することが多く、食欲は減退しているが太りやすく、散歩に行きたがらなくなります。
甲状腺機能低下症は血液検査により特定することができます。
多くの場合は、適切に治療すれば病気をコントロールすることが可能ため、老犬になったら1年に1回はチェックしておきたい項目です。
変形性脊椎症
背骨は医学的には脊椎と呼ばれ、頸部、胸部、腰部と尾っぽに分別され、それぞれ頸椎、胸椎、腰椎、仙椎や尾椎など呼ばれています。
変形性脊椎症とは加齢により腰椎が変形する病気です。
初期段階は全く症状はありませんが、症状が進むと背中を丸めていたがる様子があったり、後肢が突っ張るような感じになって、歩行がおぼつかなくなることもあります。
老齢期に発症するため、症状を回復させるのは非常に難しいことが多いのですが、1年に1回程度、脊椎のレントゲンをとって変形が起こっていないかどうかチェックすることは必要だと思います。
ある種の必須脂肪酸などの効果的に働くサプリメントを使用していくとか、階段の上り下りなど背骨に負担がかかるような動きを防ことなどで、症状の進行を抑えるなどの工夫はできるかと思います。
僧房弁閉鎖不全症
犬で最も一般的な心臓病で、犬種を問わず年齢がある程度になると、どの犬でもなる可能性がある病気です。
心臓の中にある弁が変形することで起こる病気で、心臓というよりは肺に大きな負担をかかるため、初期段階では空咳から始まり、呼吸困難から最終的には肺に水がたまり亡くなってしまう病気です。
多くの場合は無症状のため、検査で判明するというよりは、簡単な聴診でわかることが多いので、それこそ月1回のかんたんなボディーチェックで十分だと思います。
まとめ
年齢によって出てくる病気はこのほかにも色々ありますが、定期的な検診で押さえてほしい代表的な病気を今回はご説明させていただきました。
往診では残念ながらレントゲンなどの画像診断はすることができませんが、多くの疾患を発見することは可能です。
年齢を重ねると、動物病院に連れて行くのも一苦労になることが多いと思いますので、通常の動物病院と、往診の動物病院をうまく使い分け、できるだけ健康な老齢期を過ごせるように見てあげてください。