年は誰しもが取りたくないのですが、老いは誰しもがやってきます。

年をとったとしても最後まで自分一人だけで生きていければいいのですが、誰かの力を借りないと難しいことは人でもよくあります。

人間でない犬の話になれば、もちろん若い個体でさえ食事世話、トイレの世話などが必要なうえ、年をとって寝たきりになると、すべてのお世話を当然ながら飼い主様が行なうことになります。

すべてが飼い主様が労せず行えればいいのですが、なかなかそういうわけにもいきません。

今回は、自宅で老犬を介護している飼い主様が、おひとりではなかなか対応しきれない代表的なケアの中で、往診医としてお手伝いできるものをお話しします。

グルーミングなどのケア

寝たきりになって動けないとは言えども、嫌なことをされたときの力は意外と強いものです。

歩かなくなると爪や足の裏の毛はかなり伸びやすくなるのですが、爪切りは頑としてやらせてくれない老犬はよくいます。

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特に狼爪と呼ばれる親指の部分は、犬種によっては肉球に刺さることもあります。

個人的にはこういったケアをストレスをためて飼い主様が行なうよりも、往診を頼めば2,3分で爪切りは終わりますので、積極的にご依頼していただければいいと思います。

皮下補液

寝たきりになると食事の量が絶対的に低下してきます。

体重は徐々に減っていきますが、体重の減少とともに脱水が進んでいきます。

老犬の場合、この脱水が非常に問題で、体調を著しく落とすうえ、飲水のみで補うことが難しくなってきます。

こういった場合、皮下補液、皮下点滴など言い方は色々あるのですが、背中の皮膚の下に生理食塩水を200㏄から500㏄程度注射していきます。

注射された液体は緩慢に吸収され、脱水の緩和の助けになります。

こういった皮下補液を週に1回から2回程度行うのが理想的です。

夜鳴き

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夜鳴きはかなり深刻な問題です。

認知症が入った場合、夜通しで大きな声をあげるため、飼い主様の体調だけでなく、近隣の住人との関係性にも深刻な影響を与えます。

こういった場合は薬物療法に頼るしかありませんが、一部の動物病院では、犬を実際に連れてこないと処方されないケースも多く、来院が困難ため薬が手に入らないこともあります。

その点往診であれば、その心配はなく、またその都度体調の具合も把握できるので、より適切な量が処方できると思います。

床ずれ

床ずれの管理は実際にできるともうどうにもなりませんが、事前に床ずれができているかどうかを確認するのは困難です。

したがって大抵は床ずれができてからの対応になるのですが、床ずれの治療は非常に困難なこともあります。

往診でまめにケアをしたとしても、進行を緩やかにする程度なのですが、化膿に対する治療や場合によっては縫合が必要なケースもあるので、それでも往診医と協力してケアをしていたほうが状態は良好なケースも多くあります。

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下痢

寝たきりの老犬で頻発する症状が下痢です。

動かなくなる分、消化管の運動能力の低下が主に原因だと思われますが、食事などの工夫だけでは改善しない頑固な下痢が多く、治療が必要なケースがほとんどです。

止瀉薬などの内服よりは注射での治療が効果的なので、往診医に依頼したいケアの上位を占めると思います。

リハビリ

動画サイトなどで色々なリハビリの仕方が紹介されていますが、見るのと実際にやるのとでは大違いなことも多く、やはり熟練した人の手が必要なこともほとんどです。

特に起立訓練などの基本的なものだけでなく、リンパマッサージなどを行うのには、個体別にちょっとした工夫と知識が必要なため、一度は直接指導を受けた方がいいと思います。

また鍼治療などを行うことも可能なので、そういった治療を定期的にご依頼されるといいと思います。

まとめ

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飼った犬は最後まで面倒を見るというのは当たり前と言えば当たり前の話ですが、何もかも一人でやろうとすると、大きなストレスになると思います。

こんなこと頼んでいいのかな?と思ってらっしゃる飼い主様も多く、些細なことだったとしても時には深刻な悩みになります。

老犬の介護で困ったことがあればまずご連絡ください。

ご相談だけでも構いませんので。

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