猫は行動が素早く、自宅で捕まえようとしても非常に難しい動物です。

犬と違って、どこの隙間にも潜り込めますし、どんな高いところも簡単に昇ることができます。

ただ、そんな猫も年をとってくるとだんだんと足腰が弱くなってきて、行動できる範囲が限られてきてしまいます。

そんな老猫の歩いている姿をふと見た時、よろけて歩いていることに気づくこともあるかもしれません。

問い合わせでも、後ろ足が突然ふらつくというご質問を頂くことも多くあり、老猫の症状の一つと言ってもいいかもしれません。

今回は、高齢猫の足のふらつきのよくある原因と対処法をそれぞれご説明したいと思います。

単純に年齢的な衰え

当たり前の話のですが、加齢とともに筋量は落ちはじめ、特に後肢の筋量は年齢とともに著しく落ちます。

この場合、その他の一般状態はほとんど変わらず、食欲もほぼ変わらないか、やや低下している程度であることが多いと思います。

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治療などは特にする必要がありませんが、自宅での環境を整えてあげたり、食事を老猫用などではなく、あえて栄養価の高い食事してみるのがよいでしょう。

病気でそうなっているのでないのであれば、飼い主様がその状況をを受け止めてあげる必要があるので、優しく見守ってあげるのが一番だと思います。

落下による損傷

加齢により運動能力が低下すると、モノの上から落下することが多くなります。

特に肥満気味の猫の場合はなおさらです。

ご自宅であるようなタンスや机の高さは、猫が落下に備える準備がちょうどできない高さのため、大抵は背中や腰から落下します。

こうした事故は、時に脊髄の損傷を引き起こし、自宅を留守にしていたら突然後肢が動かなくなっていたのを発見したという飼い主様も大勢いらっしゃいます。

対応法としては、落下しそうな場所をなくすのが大前提ですが、どこにでも上ることができる猫の行動を制限するのはとても難しいことだと思います。

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できることであれば、床にクッションなどを敷き詰め、落下の衝撃を防止するようにするしかないでしょう。

もし落下による脊髄損傷で何かしらの症状が出た場合は治癒は大変難しく、後遺症を残した形になることも多いので注意が必要です。

馬尾症候群

馬尾とは腰と尾の付けの部分にある脊髄神経のことで、細い神経が枝分かれし分岐しています。

この場所で先ほど述べたような外傷や椎間板、骨格自体の変形などによりこの分岐した神経が圧迫され症状を起こします。

実際に歩行に影響するような神経症状が出るというよりは、痛みにより腰を落として歩くようなしぐさが見られます。

基本的には手術などをせず、痛み止めやステロイドなどの投薬により様子を見ることがほとんどですが、中には徐々に進行し、痛みにより食欲が落ちるケースもありますので、病状の変化は注意して観察する必要があります。

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血栓塞栓症

血栓塞栓症は、おもに肥大型心筋症によって起こるものです。

心臓の筋肉が異常に肥大することで、心臓内の血流に乱流が起こり、血液が滞っているところで血栓が発生します。

この心臓で発生した血栓が血管をつまらせ、詰まった血管によっていろいろな症状が発生します。

特に多いのが血管が2本の後肢に分岐する部分のため、後肢がいきなりつんのめるような形で動かなくなり、どこかを痛がるかのように呼吸が荒く、時には大きな鳴き声を上げることもあります。

手術などの方法で血栓を除去することもできますが、残念ながら予後はとても悪く、猫にとって最悪な病気の一つだと思います。

個人的にはしかっりと沈痛をかけてあげて、できるだけ痛みを和らげてあげるのが一番猫にとって誠実な治療なのではないかと思います。

糖尿病

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糖尿病の症状の一つとして、後肢のかかとが上がらなくなるという症状があります。

あまり一般的には知られてはいないのですが、猫ではよくみられる症状です。

もし水を飲む量や尿の量が多く、かかとをつけて歩くようになったのであれば糖尿病の可能性があるので、早めに獣医師と相談する方がいいと思います。

まとめ

老猫がふらふら歩いているときに、果たしてそれが病気なのかどうか迷うことがあります。

動物病院に連れて行って診てもらいたいけど、連れて行くのも負担になりそう・・・と思った時には往診という手もあるので、ぜひとも一度受診してみてはどうでしょうか?

 

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