猫にとって泌尿器疾患はつきもの。

尿結石をはじめとする下部尿路疾患と呼ばれる病気は、どんな猫でも多く発生します。

ご存知の方もいますが、排泄が滞るのは生体にとって良くないことです。

特に排尿の異常は時には腎不全を引き起こし、生命を脅かすことにもなりかねません。

ただし、排尿がないのが即異常につながるかというとそういうわけでもないので、今回はそういった排尿異常に関してのお話をしたいと思います。

食欲元気はあるが、排尿もしようともしない

よくある相談なのですが、一日以上おしっこをしないので大丈夫か?というお問い合わせをいただきます。

よく話を聞くと、元気も変わらず、ご飯もよく食べているが、トイレに行きもしないで過ごしているというのですが、この場合、基本的には様子を見ていただいて構わないと思います。

猫は気分屋なので、ちょっとしたタイミングや、物音などで警戒してトイレに行かなくなってしまいます。

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特に環境が変化していなくてもいつもと様子が違うことなど猫の場合はよくあるので、その場合はとにかく待つしかないと思います。

食欲元気はあるが、何回もトイレに行っても少ししか出ない

膀胱炎の症状です。

膀胱炎を起こすと、膀胱、尿道に炎症が起こるため、残尿感があり、結果として尿が出きっているのにもかかわらず、トイレに行ってしゃがみこんでは、何も出ず出てくるのを繰り返します。

とくにメス猫がこのような感じになった時には、ほぼ膀胱炎になったと思っていただいていいと思います。

尿道が太く短いメス猫は非常に膀胱炎になりやすいからです。

治療は抗生剤、消炎剤などを使用しながら経過を診ていきますが、尿検査を行いながら治療経過を確認することが必要です。

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原因としては多岐にわたるのですが、慢性的な膀胱炎を起こす可能性もありますので、獣医師とよくご相談して頂ければと思います。

食欲元気もなく、何回もトイレに行くっても少ししか出ない

この症状が出るのはほぼオス猫だと考えていただいていいと思います。

オス猫の尿道は細く短く、そして湾曲しているため、最近の塊や膀胱の細胞成分、時には砂粒上の尿結石などが尿道を塞ぎ、尿道閉塞という状況を作り出すからです。

何回もトイレに行っては、いきんでも出ないを繰り返すのですが、膀胱炎と異なり尿が物理的に排泄は可能な状態になっているため、腎臓にその影響が出てきます。

尿道閉塞を起こした場合、尿道に詰まった異物をカテーテルを使って開通させるのですが、閉塞を起こしてから時間がたっている場合、開通しただけでは状態が落ち着かないことも多く、腎不全を起こしているため集中的な点滴治療などが必要なケースもあります。

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また、一度開通させても何度も閉塞するケースも多く、そういった場合には尿道を拡張させる手術が必要です。

基本的には尿中に含まれている結石、結晶が原因のため、それを抑えるような食事療法が必要になってきます。

食欲元気もなく、トイレにも行かない(動かない)

状態の落ちた闘病中の猫、老猫に多く、水分の吸収効率があまりにも低下しているため、脱水をおこしているとなりやすくなります。

全身を流れる血液の量が著しく低下するため、腎臓に流れ込む血液量が減り、結果として乏尿と呼ばれる状態を引き起こします。

重度の腎不全を起こしているため、著しく状態が悪化していることも多く、ぐったりとして動かないというのがほとんどの場合です。

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こうなった時にはあまり治療の効果は望めないことが多いのですが、できる限りの治療は考えていただいてもいいと思います。

まとめ

排尿の異常は時には思わぬ状態の悪化を引き起こすため、いつもと様子が異なる場合は獣医師と相談して頂いた方がいいと思います。

ただ猫の場合は、移動のストレスも多くあるため、動物病院に連れて行く前に一度往診獣医師と相談してみてはいかがでしょうか?

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