猫は元来よく吐く動物です。
人間の嘔吐と違い、胃内の環境を整える意味で意図的に吐くことができる動物なので、週1回吐くような猫はざらにいます。
特に健康に問題がなくても、毛玉などを定期的に吐くことによって胃内の環境を整えていくのです。
ただ、高齢になってくると若い時の嘔吐と違い、だらだらメリハリがなく吐くことも多く、食欲はあるのにもかかわらず、気づいたら毎食毎に吐いていることもあります。
そこには必ず原因があるわけですが、動物病院に行って色々検査するのも負担がかかるのが心配でどうしようかと悩んでいる方も多いと思います。
今回はこういった、ちょっとした高齢猫の嘔吐についてご説明したいと思います。
嘔吐の原因
嘔吐の原因は様々ありますが、高齢猫の場合で気になる疾患と言えば腎不全と甲状腺機能亢進症です。
これらの病気は、食欲はあるけれど吐くという症状の他に、体重の減少が著しいので、もし持った感じ軽くなったかな?と思ったら疑ってもいいかもしれません。
また、食欲があるのに吐くというケースで割と多いのが、食事の内容があっていないことがあります。
ちょっとしたアレルギー性の反応や、給餌量などの問題が原因としてあげられます。
あとは、ただ単に加齢による胃腸運動の低下などもあり、必ずしも原因が判明するとは限りません。
もちろん、腫瘍などの重篤な原因も考えられられなくはないですが、このような場合大体が食事量も落ちているので、今回の内容からは割愛します。
対処法
腎不全や甲状腺機能亢進症があった場合、その原因を取り除くしかないのですが、これらの2つの病気は維持療法のみとなり根治はありません。
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原因疾患のフォローアップを行っても、吐き気があるような場合は、胃薬などの対処薬を使用していくしかありません。
食事が原因の場合、食事を変更すればいいのですが、これがまたなかなか難しいことが多くあります。
なぜなら猫、特に老猫は食事を変えるとめっきり食べなくなるケースも多く、食事の変更が引き金になって老いていくスピードが加速することがあるからです。
いきなり変えるのでなく、少しずつ変更してください。
それでも嘔吐が止まらない、もしくは食事を食べないのであれば、対処薬で様子を見ていくしかないと思います。
加齢による原因不明の嘔吐も同様で、対処薬で対応するしかありません。
結局のところ、根治というよりはそれなりに付き合っていくような形になっていくのがほとんどです。
それでも止めたい場合は?
こういった猫の場合、ステロイド薬の試験投与をすることがあります。
ステロイドには吐き気を抑える効果はありませんが、服用していると調子が上がることは多くあります。
ほかの動物に比べて副作用は極めて稀なので、積極的に使用する獣医師もいますので、もう一手何か手段を打ちたいのであれば、なくはない手だと思います。
まとめ
老猫の吐き気というものは、割と頻繁に出てくる症状なのですが、個人的な意見を言えば、食欲があり、体重の減少もあまりないのであれば、何もしないのも一つの手です。
自宅で猫に投薬を行うのは、人、猫の双方のストレスが非常にたまるからです。
特に高齢の猫の場合は、ストレスを回避するのが一番重要なので、今回述べたような方法は、十分余裕がある状況でなら取り入れていただく方がいいと思います。