犬は圧倒的に人より早く年をとります。
ほとんどの飼い主様がその犬の一生に立ち会う中で、若い時には健康で動物病院なんかほぼ行かなかったのに、年をとってきた途端に色々な心配事などが出てきたという飼い主様は非常に多いと思います。
前回は、ご自宅でやってほしい環境の整備と食事与え方について、ちょっとしたアドバイスを書きました。
前回の記事
今回は、もっと色々やってあげたいと思っている飼い主様に役に立てるようなご助言をさせていただきたいと思います。
サプリメントを与えてみる
コラーゲン、コンドロイチン、グルコサミンなど、人でもおなじみのサプリメントが多数あります。
ただ、いくつかの医学的な論文で、そういったサプリメントの効果に疑問を呈するものがあり、多くの医師、獣医師が否定的な立場をとっています。
そういった状況の中で注目されているのが、ω3という脂肪酸のサプリメントです。
もちろん、効能を積極的に評価するような科学的な論文はありませんが、今のところ獣医医療では経験的に大きな効果がでると考えられています。
実際、ぼくもよく処方しますが、効果があったと実感される飼い主様が多いので、一度はトライしてみてもいいのでは?と思います。
リハビリに挑戦してみる
リハビリとは言ってもそれほど難しいものではなく、ご自宅でも簡単にできるものばかりです。
まず早速実践していただきたいのが、ご飯を食べる時に座って食べさせないで、四足で立たせて食べさせるということです。
犬は万が一後肢が動かなくなっても器用に、そして不自由なく生活できます。
使わなくなればなるほど、後ろ足はどんどん使われなくいき、後肢の筋量もどんどん落ちていきます。
なかなか犬の筋肉トレーニングというのは自宅では難しいと思いますので、まずは起立させて生活する時間を増やすのが有効だと思います。
腰を上げるような介護用ハーネスもありますので、そういったものを利用していただいてもいいと思います。
マッサージをしてみる
犬にマッサージ?と思うかもしれませんが、わりと有効な方法です。
漫然と揉むのではなく、人と同じように経絡と呼ばれるツボが多く存在していますので、そういったツボを利用するのがいいと思います。
特に犬の背骨のわきには多くツボがあります。
体の中央からやや後ろあたりには、後ろ足を活性化させる中心的なツボがあるので、そこおもにもんでいただくのがいいと思います。
また肉球の裏、指の股の水かきの部分、膝の裏、太ももの裏あたりにもツボがあるので、こういったところを刺激しながらもんでいただくといいと思います。
鍼灸をしてみる
飼い主様がご自身でできるわけではありませんが、往診で行うことも可能です。
多くの往診医が、鍼灸の治療を行っていますので、積極的に利用してみてもいいと思います。
まとめ
直接獣医師が自宅に行って、リハビリやマッサージのやり方を教えさせていただくだけでなく、自宅の環境を直接確認できますので、的確なアドバイスがより行えると思います。
こういった点は、通常の動物病院よりも多くのメリットを持つと思います。
高齢の犬を動物病院に連れいていくのはそれだけでも大きな負担になります。
病気というよりはケアの範囲で往診を利用するのも、年齢にあがらう大きな手段になるのではないでしょうか。