ペットの中で、ワクチンの予防接種ができるのは、犬、猫、フェレットのみです。
一年に一回、ワクチンをうたないとけない煩わしさはあるものの、予防できる病気があるということは幸せなことだと思います。
ただ、高齢になってくると、動物病院に連れて行くだけでかなりの負担になるため、ワクチン接種に行くのを躊躇してしまうこともあると思います。
今回は、シニア層の犬猫のワクチン接種についてご説明したいと思います。
老齢の犬猫にワクチン接種は必要なのか?
よくご質問を受けるのですが、「高齢になった動物にワクチン接種は必要?」とおっしゃる飼い主様が多くいます。
個人的な意見で言うのであれば、飼育している環境次第だと思います。
例えば人間のインフルエンザのワクチンであれば、積極的に摂取する必要があるのは、小さな子供や高齢の方です。
この方々は、免疫力が未熟もしくは低下しているため、より積極的にワクチンを接種するべきだと言われています。
これは犬猫も同様で、免疫力が低下しているような高齢な動物であれば、より積極的なワクチン接種が必要となります。
ただ、犬猫と人間の違う点は、高齢になれば外に連れ出す機会がほぼなくなるので、感染する機会が激減します。
伝染病の予防という観点で言えば、感染源と出会わないようにするのが、最も予防効果の高い予防法です。
したがって、猫はもともとほぼ外には出ませんが、高齢になって散歩に連れて行かなくなるような犬であればワクチン接種は必要ないと思います。
逆に、散歩も若いころのように行くし、他の犬猫とも会う機会が非常に多いというのであれば、高齢になればなるほど、ワクチンはしっかりと接種するべきです。
ワクチン接種した場合の注意点
ワクチンは体にとっての異物ですが、ワクチンウイルス自体が体に大きな負担を与えることはないと思います。
ワクチン製剤には免疫を動かすためのアジュバンドと呼ばれる免疫割賦剤が含まれています。
生体に与えるダメージは、むしろこのアジュバンドと呼ばれる物質が影響することが多く、ワクチンアレルギー以外の副作用を引き起こすこともあります。
ワクチンを接種した後、3週間は免疫学的に挙動が安定しないことが多く、その間の食欲や飲水量、活発さなどはよく観察したほうがいいと思います。
たまに耳の端などを持ってみて、普段より熱っぽさがないかどうかチェックするのも有効です。
ワクチン接種しなかった場合の注意点
当然ながら感染源と出会うことを避けた方がいいと思いますので、ほかの動物たちが集まっているような場所などには連れて行くべきではないと思います。
とは言いつつも、東京のような大都市部であれば、ワクチンで予防できるような病気の発生はほとんどないので、過度な心配の必要はないと思います。
まとめ
ワクチン接種は飼い主様の自己判断とはなりますが、獣医師の目線から言うのであれば、予防できる病気があれば、予防はしっかりとしてあげた方がいいとは思います。
そのうえで、高齢の犬猫がおかれている生活環境をよく考え、ワクチン接種を実施するかどうか判断していただければと思います。
もしワクチン接種をご希望ているのにもかかわらず、様々な理由で動物病院に連れて行くのが困難であれば、ぜひとも往診を活用していただくことをお勧めします。