人もそうですが、犬も年をとってくると足腰が弱ってきます。
老犬は背骨が変形し、背骨の中に入っている脊髄神経の機能が衰えることで、急激に後肢の反応が鈍くなり、筋量がどんどん落ちてきます。
最終的には立てなくなり要介護の状況となります。
要介護の犬を自宅で飼育するのは多くの負担を飼い主様に強いることになると思いますが、ほぼこれらの現象は老衰といえるような反応のため、完全に回避することはほぼ不可能に近いと思います。
そういったなかでも、獣医師として、加齢に対し抗うためのいくつかのアドバイスがありますので、今日はその点についてご説明させていただきます。
環境を整える
環境を整えると言っても、いくら愛する家族のためとは言いつつも、自宅をリフォームなどすることは非常に難しいと思います。
できるだけ滑らないようにフローリングにマットをひくとか、スロープを付ける、段差をなくすなどの出来るだけの工夫でも十分だとは思います。
また老犬は、視力が大分と低下しています。
特に夕方、自宅の電気がついていない時間帯の視力は大分と落ちていることが多いので、早めに電気をつけてあげるとか、階段など落下する恐れがあるところにはいけないようにするなどの工夫もいいと思います。
視力がなくなっても、家具の配置などを記憶して動くことも多く、家具の位置をあまり変えないというのも方法です。
栄養をしっかり取らせる
老犬にはシニア用のドッグフードをというのが、おおよその意見だとは思いますが、個人的には状況によりけりかなと思います。
シニア用のドッグフードは基本的にいくつかの栄養素を制限していることがあります。
年をとってもしっかりと食べてくれる犬ならいいのですが、大抵はだんだんと食欲は落ちてきますので、全体的に取れる栄養も少なくなってきます。
したがって何らかの成分を制限しているような食事は、場合によって摂取する栄養素が不足することもあるので、体重が特に減少しているような犬であれば、食事はシニア用にこだわらず与えた方がいいと思います。
極論を言えば、本人が食べたいものを食べたいだけ食べさせる形でも良いと思います。
また個人的にお勧めなのは、ドッグフードにスーパーで売っているサバの水煮缶などを加えるのもいいと思います。
サバは安価で、老犬に対しとても良いとされているω3という脂肪酸をふんだんに含んでいるため、非常に良好な栄養素になると思います。
手作りで作られている方も多いと思いますが、基本的にはタンパクの量を積極的に取れるように心掛けていただくといいと思います。
なかなか固形の物を食べてくれないような犬には、人用のよく筋トレした後に飲むプロテインなどを混ぜてみるのもいいかもしれません。
大抵は中に匙が入っていますので、体重10㎏ぐらいなら、匙の半分程度を一回の食事に混ぜていただくのがいいと思います。
腎臓に負担がかからない?という心配をよく飼い主様から頂くのですが、基本的には問題はないと思ってください。
まとめ
今回は治療というよりは、自宅でできる工夫を中心にご説明させていただけました。
次回は、さらに何かしてあげたい飼い主様に、自宅でできる簡単なリハビリなどをご紹介したいと思います。