ほとんどの飼い主の皆様が知ってらっしゃる通り、犬や猫には定期的にワクチン接種をする必要があります。
ワクチンを接種する理由は、免疫力をあげ、病気を予防することにあります。
獣医師として前々から心の中では疑問には思っていたのですが、ワクチンを接種すべき動物は通常免疫力が落ちているので、動物病院のようなそれこそ病気の巣窟のような場所に行かないといけないというのは、そもそも矛盾した話だと思います。
特に月齢が若く、初年度のワクチン接種を必要とする幼いペットは免疫力が「0」に近い状態なので、病院に連れていくのはそれなりのリスクがつきまとうことになると思います。
無論、往診の動物病院からの記事なので、偏った方向の話になるのかもしれませんが、今回は初めてのワクチン接種を往診で実際に行った飼い主様のご紹介をしたいと思います。
そもそも混合ワクチンは必要なの?
犬の場合は法律で定められている狂犬病ワクチンを除けば、犬や猫の混合ワクチンは任意で行うものであり、飼い主様によっては接種をしないと決めている飼い主様もいらっしゃいます。
また、獣医師によっては1年に一回必ず必要という先生もいれば、3年日一度でいいというケースもあれば、必要ないという先生もいたりして、言うことはまちまちです。
一般論で言えば1年に1回接種しておいた方がいいというのがおおよその意見ですが、これは成犬に限ってです。
ワクチン未接種もしくはワクチンがしっかりと完了していない幼い犬や猫は、感染を容易に引き起こす他、症状も成犬に比べると極めて重篤に出るケースもあります。
ウイルスの種類によっては、都心の中にいても感染の機会のあるものもあるので、初年度はもれなく接種しておいた方がいいと思います。
往診でワクチン接種をするメリットとその流れ
今回お伺いさせていただいたお宅は、2週間前に自宅に来たチワワとプードルのmixの犬です。
ワクチンの在庫はいつでも取り置きがあるので、基本的にはいつでもワクチン接種は可能です。
この仔は生後3カ月で1度目のワクチンはペットショップで済んでおり、今回は2回目の接種となります。
余談となりますが、ここ数年の犬や猫はかなり月齢が若いうちから販促されるため、1回目のワクチン接種が以前に比べかなり早い段階で接種しているケースが多くみられます。
したがって、いくつかのワクチンウイルスは有効に免疫を引き起こすことが出来ないこともあり、初年度は3回ワクチン接種を行うのが理想だと思います。
診察は、まず入念に全身を診察します。
ヘルニアなどの奇形はないかどうか、心臓など雑音はないかなどはチェックしますが、意外と耳ダニなどの寄生虫は販促前に見落としているケースもあるので、初診の仔ではよく見る必要があると思います。
大体の飼い主様は爪などが引っかかるのを気にして、爪切りなども一緒にご依頼されることが多いと思います。
その後問題がなさそうであればワクチンを接種します。
ご料金は初診の仔であれば、登録料が2000円、5種混合ワクチンは5000円です。
通常の動物病院で接種する値段とあまり変わらないと思います。
往診診療のデメリットはないの?
ワクチン接種した後、ワクチンアレルギーが出るケースがあります。
顔が腫れるなどの急性症状から、吐き気、下痢などの遅発性の症状など色々あります。
こういった症状が出た場合は、飼い主様が可能であれば、接種した動物病院に戻ってすぐに処置をすることが出来ますが、往診ではタイミングによってはすぐに対応できないこともあります。
ただし、ワクチン誘発性の副作用は基本的には急ぎで対応する必要はないので、慌てず1晩様子をみて、それでも落ち着かなければ翌日にご連絡していただければよいと思います。
まとめ
繰り返しになりますが、ワクチン接種を動物病院で行うというのは、逆に言えば免疫力の少ない動物に感染の機会を増やすということにもなり得るので、できれば隔離された施設で行うのが理想ですが、通常の動物病院ではほぼ無理だと思います。
そういった意味では、ご自宅でワクチン接種が行える往診診療はかなりのメリットを享受することができます。
また、若齢の犬猫だけでなく、同じく免疫弱者である高齢の動物のワクチン接種についても、いつでもご相談して頂ければと思います。
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