普段診察をしているとよく聞かれるご質問となのですが、「いつからドッグフードはシニア用にしたらいいのですか?」と悩まれているかたが多くいらっしゃいます。
ぼくが獣医師になったころよりも、今のドッグフードは非常に細分化されるようになりました。
皮膚用、泌尿器用などの疾患の物は昔からありましたが、チワワ用、大型犬用などの犬種別、最近では無添加や国産にこだわったドッグフードも多くみられるようになりました。
そんななかでも昔から変わらないのが、年齢に合わせて栄養面を調整した世代別ドッグフードです。
特に飼っている犬が年をとってきた時には、多くの飼い主様がより健康を維持できるようなドッグフードを考えていらっしゃると思います。
今回は多くのシニア犬を診てきた往診医の意見として、シニア用ドッグフードの選び方のヒントをご説明したいと思います。
いつからシニア用のドッグフードに変えるべき?
実際、いつからシニア?という質問はよく受けます。
犬と一言に行っても犬種によって寿命も違うので、横一列に何歳からシニアとは言い難いと思います。
一般的な話で言えば8歳ぐらいからがシニアにあたるとされていますが、個体差も多く、また犬種も一昔前より多様化しているので、一概には8歳とは言えないのが最近の傾向です。
ぼくはよく診察の中では、目の周りや口角に白い毛が目立つようになったらシニアと考えて下さいとアドバイスさせていただいています。
したがってシニア用のフードも、白い毛が目立つようになったら考えたほうがいいと思います。
どんなドッグフードがいいのか?
一般的なシニア用のドッグフードのコンセプトとしては、通常の成犬用の食事よりもたんぱく質の含有量を10~20%程度少なくし、その分炭水化物の量を増やしていることがほとんどです。
また塩分の含有量も控えており、正直嗜好性としてはやや落ちる感は否めないと思います。
こういった食事は、シニア用と名をうっていなくても、腎臓をケアするような処方食やアレルギー用の食事でも同じような配合で調整させていることも多いので、市販の物よりも獣医師用処方食を好まれる場合には参考にしてみてください。
ただ、正直な話、最近ではどこのドッグフードメーカーもかなり改良されているので、一般的なドッグフードにはほとんど差はないと思います。
ちなみにグルコサミン配合とかコンドロイチン、コラーゲン配合など書かれている場合もありますが、医療的には全く意味がないと考えられています。
ちょっとした工夫
個人的にはシニアに与えるドッグフードは、種類よりも保存方法にこだわった方がいいと思っています。
ドッグフード、特にドライフードは乾燥している分、長期的な保存が可能になるのですが、時間がたつとやはり成分はどんどん劣化します。
特にドッグフードの中に含まれている脂肪分は、時間がたつと酸素と結合し酸化し、過酸化脂質と呼ばれるもの似変化します。
過酸化脂質は、細胞を損傷させ、異常な生理活性を引き起こすと言われており、腫瘍の原因やアレルギーなどの免疫異常を引き起こすと言われています。
犬は皮下脂肪も多く、この過酸化脂質が非常に体内に沈着しやすいと考えられており、とくに免疫力が低下している老犬には多くの影響を与える可能性があります。
したがって、ドッグフードは絶えず新鮮なものを与えるように努力していただくようにいつもアドバイスさせていただいています。
具体的には大袋ではなく、小さいサイズのものを購入するとか、もともと小袋に分かれているものを選ぶとよいと思います。
また、大袋で購入した場合は、先に密閉できるような容器に小分けして保存したほうがいいと思います。
食品用シリカゲルなども簡単にネットで購入できるので、そういったものを利用するとさらにいいと思います。
食欲も落ちてきて、体重もやせ始めたら?
シニア食は基本的に成分の制限食です。
食事の摂取量が減った犬に、さらに成分調整されたものをあたえると、なおさら接種不足に陥ります。
したがって食べるものを与えるやり方が、個人的にはお勧めしています。
細かい栄養というよりは、できる限り体重が維持できるように工夫するべきだと思うので、食事の制限は一切しないほうがいいと思います。
まとめ
考えだしたらきりがないものの一つがドッグフード選びです。
ですが、毎日のことですので、簡易的に入手できかつ給餌もできるものがいいと思います。
もしドッグフードで何かお困りのことがあったら・・いつでもお気軽のご相談してください!!