何回かこのブログでも紹介していますが、老猫のかかる代表的な病気と言えば腎不全。
個人的には猫の腎不全は老衰とほぼ同じような感じだと思っています。
理由は完全にあがらうことはできないから。
猫の腎不全に対するガイドラインは定期的に更新されているのですが、完治への治療ではなく、緩和療法のガイドラインに終始します。
最終的には皮下補液などの治療を行うことになるのですが、問題はその頻度。
できれば週に数回の皮下補液を行うのが理想なのですが、なかなか動物病院にそのたびに連れて行くのは現実問題として難しいと思います。
また自宅で飼い主様が皮下補液を行うのもかなり大変なもの。
今回の記事では、ほかの動物病院で腎不全と診断され皮下補液をすすめられた飼い主様の診察です。
皮下補液をしたいけれど、動物病院に連れて行くこともできない、自宅で皮下補液の注射もできないため、往診のご依頼をいただきました。
なぜ皮下補液が必要?
腎不全を患うと初期から中期にかけては尿量は非常に増えます。
薄い尿が大量に出るため、それを補おうとして水をよく飲むようになります。
最初のうちはそれでことが足りるのですが、腎不全が長期化してくると、だんだんと体に取り込む量より、体から外に出る水分の量が増えていきます。
ある程度のところまで進むと、顕著な脱水が見られるようになり、食欲不振や嘔吐などが症状としてあらわれます。
また本来であれば、尿で排泄されるような老廃物が体外に排出されにくくなり、これも体調を崩す原因となります。
皮下補液の役目としては、こうした脱水を起こしている猫に対しての水分補給のほか、人間のような人工透析までの効果は至らないまでも、尿量を増やし、老廃物の排泄を促す効果があります。
また、静脈の点滴と異なり、短時間で簡易的に行うことができるので、猫の腎不全の治療では最も一般的に行われる治療となります。
セカンドセレクトの皮下補液は?
皮下補液の問題点としては、当の猫が喜んで治療を受けてくれないということです。
皮下補液の頻度は、できれば週に1から2回は最低でも行った方がいいと思うのですが、これがなかなか難しいことが多くあります。
最も手軽なのは、飼い主様がご自宅で皮下補液を行うというものですが、猫をおひとりで飼育されたり、また活発すぎて物理的に難しいなど、飼い主様によってはできない方もいらっしゃいます。
また、動物病院に連れて行くのにも負担やストレスを考え、極力避けたいという飼い主様もいらっしゃいます。
今回お伺いしている飼い主様はまさしくそのような状況の飼い主様でした。
診療の流れとしては、まずご都合のいいお日にちを選んでいただき、往診日を設定します。
電話でもメールでもどちらからでも構いません。
実際の往診では、体重測定や簡単なボディチェックの後に、皮下補液を行います。
ご料金は診察料が2000円、皮下補液料が3000円です。
また定期的に検査を行うこともあります。
腎臓の血液検査であれば3000円程度、合わせて全身のスクリーニングも行いたいという時には11000円ほどかかります。
また尿たんぱくの測定も定期的に行うことをお勧めしています。
尿たんぱく測定は3000円です。
セカンドセレクトの大きな特徴としては、ほとんどの往診で看護師が一緒に同行しています。
ですので、よほどのエキサイティングな猫だとしても獣医師と看護師が協力して補液を行いますので、うち漏らしはほとんどありません。
ただし、事前に猫を捕まえて、キャリーもしくは洗濯ネットなどに入れていただけると助かります。
部屋の中だとしても逃走した猫を捕まえるのは、ほぼ不可能です。
まとめ
皮下補液は腎不全を患った猫を飼われている飼い主様なら一度は考えたことがある治療法だと思います。
腎不全は治癒することがなく、治療は長期化するため、猫も飼い主様も治療疲れが出やすい病気でもあります。
セカンドセレクトでは、できるだけそういった飼い主様のご負担を軽減したいと思っているので、もし皮下補液を考えている飼い主様がいらっしゃいましたら、いつでもお気軽にご相談ください。