どんな動物でも高齢になると自宅でのケアが必要になってきます。

「介護」というレベルまではいかないまでも、食事の内容を気を付けたり、けがをさせないように段差をなくしたりなどの工夫をされた飼い主様も多くいらっしゃると思います。

そしていよいよ食欲もなくなってくると、皮下補液と言ってリンゲル液やビタミン剤などを定期的に皮下注射する緩和療法を取り入れることもあります。

ただ従来の動物病院では皮下補液を行うため、老いた、状態の悪い動物を動物病院に連れてくる必要があり、その負担を心配される飼い主様も多くいらっしゃいました。

また、セカンドセレクトでは往診も行っていますが、実際のところ、定期的に行うにはややコストがかかるため、長期的なケアとしては難しいところもあります。

そういった現状を踏まえ、飼い主様の中には皮下補液を自宅で行う方も多くいらっしゃいます。

今回は実際にセカンドセレクトの往診診察の中で、自宅で猫に皮下補液を行っている飼い主様をお手伝いさせていただいている様子をご紹介しながら、全体的な流れなどご説明したいと思います。

皮下補液のメリットとは?

高齢の犬や猫が食欲がなくなってくると一番問題になるのが脱水です。

特に高齢猫で頻発する腎不全などは、重度の脱水を引き起こす疾患です。

こういった脱水に対しては、本来であれば経口から水分を補給するのが理想です。

しかし、体力が落ち、食欲が落ちた動物に水を飲ませることはかなり困難なため、皮下に水分を含んだ注射を行うことが代替の方法として行うことが推奨されています。

もちろん皮下補液をすることによって、腎不全のような疾患も含め、老齢性の疾患は根治的な治療とはならないのですが、本人の体調を整える意味では一定の効果が期待できます。

また静脈点滴のようにある程度の設備と監視が必要でないため、簡易的にできることも大きなメリットだと思います。

自宅で皮下補液を行うメリット

皮下補液はその処置自体は非常に簡易的に行うことが出来るので自宅で行うことができます。

自宅で行うことで、動物病院へ連れて行く必要がないため、移動のストレスや負担を軽減することが出来ます。

皮下補液を往診で依頼するメリット。定期的な皮下補液がペットに必要になったら。

実際にご自宅で皮下補液を行う際に、往診をご依頼されて行う飼い主様もいらっしゃいますが、ご自身で行う方もよくいらっしゃいます。

ご自身で行う最大のメリットとしては、コストが非常に抑えることが出来るというのが大きなメリットになります。

実際にセカンドセレクトに往診で皮下補液をご依頼された場合のご費用は、再診料2000円、皮下補液が3000円~4000円となります。

一方、セカンドセレクトで1週間分の皮下補液キットをご依頼された場合は、補液の種類にもよりますが、6000円~15000円程度になります。

1回の注射料金が1000円から2000円程度で済む計算になります。

皮下補液キットには、50㏄シリンジ、リンゲル液500㏄、注射針、皮下補液用のビタミン剤などが含まれています。

実際に今回処方させていただいている飼い主様は、猫が腎不全を起こしており、毎日120㏄の補液をご自身で行っています。

7日分の処方料として8200円がその医療コストになっています。

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実際にどれくらい皮下補液は必要なのか?

皮下補液の頻度、量などは当然その犬や猫の状況に合わせてかなりの違いがあります。

理想を言えば、ほとんどの場合は毎日行った方が状況は安定しますが、やりすぎもよくありません。

セカンドセレクトでは、1週間分の皮下補液キットをお届けする際に、ペットの状況やご自宅の状況を確認し相談することも可能ですので、不安がある飼い主様は往診とセットでご依頼いただければと思います。

皮下補液を行う際の注意点

皮下補液は生体に与える影響が極めて少ない方法であることには疑いはありませんが、まれに容量過多になり循環器に悪影響を起こす可能性はあります。

手足がむくんでいないかどうかなど皮下補液を行う前には確認はしておいた方がいいと思いますし、定期的に寝ている時の呼吸のや、体重は計測したほうがいいと思います。

急激な呼吸回数の増加、体重の増加は何らかの異変が起こっている可能性が高いので、皮下補液を継続する前にセカンドセレクトにご連絡ください。

自宅で皮下点滴を行うときに気をつけたい5つのこと【セカンドセレクトからのアドバイス】

うまく皮下補液が行なえない場合は・・・・

今はYOUTUBEなどで皮下補液の方法を伝える動画がたくさんありますが、ほとんどの飼い主様の意見としては、あんなに猫が大人しくしていないと言う飼い主様が多くいます。

たいていの場合、猫は嫌がってかなり動きますので2人一組で行う方がいいと思います。

肩口を後ろからしっかりつかむと猫はあまり動きませんし、前にジャンプしようとしても簡単に抑えることが出来ます。

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こういったご指導は、動物病院の中では猫は家と違った行動をすることが多く、やはりご自宅で行う方が飼い主様も参考になると思います。

セカンドセレクトではこういったご指導も行っていますので、ご自宅でご自身で皮下補液を考えている飼い主様がいらっしゃいましたら、お気兼ねなくご連絡下さい。

今回の飼い主様はいつもはご主人様と2人で注射を行うのですが、お仕事の都合で1人で補液を行うことになり、今回セカンドセレクトに注射の補助もご依頼されました。

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まとめ

飼い主様の第一印象としては、ご自宅での皮下補液を行うということに戸惑いや不安を感じることが多いと思います。

ただ食べることも飲むこともしなくなった動物の衰弱はかなり急速です。

ご自宅で、そしてご自身で皮下補液を行うという選択はベストな選択ではありませんが、それでも定期的に行うことで、穏やかに生活できる日が伸びることが多いと思うので、ぜひ一度ご相談ください。

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