こんにちは、セカンドセレクト獣医師の斉藤です。

ぼくもそうですが、悲しいことに年を取ってくると、首や肩回りにしびれや痛みが出ることがあります。

ぼくの場合はある意味デスクワークがほとんどなので、パソコンの作業などが原因になっているのだと思います。

人によってはそれが耐え難い痛みになることもあり、同時に手先に軽いしびれや麻痺を感じる方もいらっしゃいます。

こうしたケースでは頚椎ヘルニアを患っている方も多く、セカンドセレクトにご来院されている飼い主様の中にも、頚椎ヘルニアの手術を行った方も何人かいらっしゃいます。

ペットでも猫ではほとんどないのですが、犬では頚椎ヘルニアは割とよく見かける病気だと思います。

自分の犬が頚椎ヘルニアと診断されたときに、インターネットなどで調べることが多いと思いますが、現在犬のヘルニアで調べて出てくるのはほとんどの場合、胸腰椎のヘルニアに関するもので頚椎ヘルニアの記事はそれほど多くありません。

今回はそんな頚椎ヘルニアについて、胸腰椎のヘルニアとの違いを中心にご説明したいと思います。

頚椎ヘルニアってそもそも何?

多くの飼い主様がご存知だと思いますが、脊椎と呼ばれる背骨にはいくつかの椎骨と呼ばれる小さな骨が一つ一つ関節を作って結合しています。

ちなみに犬の場合には頚椎には7個、胸椎には13個、腰椎には7個の椎骨が存在します。

一つ一つの椎体の間には椎間板と呼ばれる軟骨でできてる椎間板と呼ばれる少し軟らかいものがあり、椎体同士の摩擦を和らげるクッションの役目をしています。

この椎間板が何らかの理由で神経側にせり出してしまうことで椎間板ヘルニアが起こります。

椎間板ヘルニア自体は多くの飼い主様がご存知だと思います。

ただ改めてご説明いたしますが、頚椎ヘルニアは胸腰椎で起こったヘルニアとヘルニアという意味では一緒なのですが、症状や治療法などはかなり異なります。

頚椎ヘルニアの原因

胸腰椎のヘルニアの多くの場合、ミニチュアダックスやフレンチブルドッグなどの特定の犬種に発生することがほとんどで、そのほかの犬種で見られることはそれほど多くはありません。

一方で頚椎ヘルニアの場合、ミニチュアダックスやフレンチブルドッグにも多くみられるのですが、そのほかの犬種でも比較的よくみられます。

椎間板ヘルニアが胸椎で発生する原因は胸腰椎で発生する原因とほとんど一緒だと思いますが、加齢の要素がより多くあると思います。

逆に言うと、ミニチュアダックスのような好発犬種だったとしても、頚椎ヘルニアが3,4歳ぐらいの若い個体で見られることはあまりなく、どの犬種も7,8歳ぐらいから病気を発病することがほとんどです。

治療法・手術は必要?

頚椎ヘルニアは胸腰椎のヘルニア同様に症状にステージがあります。

動物病院で一般的によくみられる症状は首の痛みが多いと思います。

横を向いた時にキャンと鳴く、上を向けなくなった、首を触ろうとすると嫌がるというのが典型的な症状です。

また圧迫されている神経の位置によっては、首ではなく前足を痛がることもよくあり、前足のびっこの原因になることもたまにあります。

治療の方針については動物病院によって様々ですが、セカンドセレクトではまずは鎮痛剤を使用して様子を見ていきます。

鎮痛剤には2系統あり、どちらの系統の鎮痛剤を使用するかは病気になった犬によって異なりますが、多くの場合はNSAIDと言われる鎮痛剤や、非オピオイド系と呼ばれる鎮痛剤を使用します。

投薬によって十分に効果を得られた場合や、再発の頻度があまり高くない場合はMRIの検査や手術もあまり積極的には行わなくてもいいと考えています。

理由としてはリスクが高い部類の手術になるからです。

ただ、投薬の効果があまり得られない、再発をたびたび繰り返すなどある場合は、手術も積極的に検討してもいいと思います。

また一方で前足の麻痺が見られる場合には、最初から手術を検討することをお勧めしています。

なぜなら頚椎ヘルニアによる神経麻痺は、胸腰椎のヘルニアと異なり、軽度の麻痺だったとしても、投薬により十分な効果が得られにくいからです。

また胸腰椎のヘルニアの手術と異なり、術後の回復が短期間で見られることもその理由の一つで、長いリハビリが必要な胸腰椎のヘルニアの術後に比べ、頚椎ヘルニアの予後は極めて良いことがほとんどです。

ちなみに手術の方法は頸部の喉の方から切開をいれ、頚椎の椎間板を除去するという方法になります。

以前は非常に困難な手術の部類でしたが、最近では医療機器も発達しているので、以前よりは簡易的にできるようになりました。

ただし小型犬であればという話です。

中型から大型犬でも神経麻痺が見られるようであれば積極的に手術は検討してもいいと思いますが、小型犬ほど成績はよくありません。

もちろん手術自体がかなり困難だということもありますが、特にドーベルマンやロットワイラーなど頭が非常に重い犬種では、手術後に頭を支えきれずにいるため、頚椎を固定する手術を同時に行う必要がよくあります。

この場合、術後に術前よりも神経症状の悪化がよく見られるのですが、大型犬をリハビリすることは小型犬に比べると非常に困難であるため、頚椎ヘルニアによる神経の圧迫は完全にとれたとしても、うまく起立できないぐらいの後遺症が残ることもあります。

ちなみにセカンドセレクトでは頚椎ヘルニアの手術が必要になった場合は、MRIが完備されている大学病院か一部のセンター病院にご紹介させていただいています。

理由としては、胸腰椎のヘルニアの手術では、除去した椎間板物質の取り残しがあるかどうか、おおよそ肉眼で確認ができるのですが、頚椎ヘルニアの場合はそれが困難なため、術後のMRIによる確認が必須だからと考えているからです。

まとめ

めんどくさいことを英語では「pain the neck」・・首の痛みというらしいですが、それほどに首の痛みというのは耐え難いものだと思います。

首を痛がる病気というのは意外と多いのですが、もし飼っていらっしゃる犬の首を撫でようとしたときに嫌がるそぶりが見られたら・・いつでもお気軽にご来院ください。