犬は体温調節の機能が人間より劣っています。
人間は汗による気化熱で体温を主に調節していきますが、犬の場合は汗腺がないため、おもにパンティングで体温を調整します。
舌を出し、はぁーはぁーと呼吸する姿は時に息苦しく見える場合もあり、その回数は1分間に300回を超えることもあると言われています。
パンティング自体は犬が元来持っている自然のものなので特に問題はないのですが、その呼吸音が異常なものになることがあります。
特に今回ご説明しようと思っている「気管虚脱」は老齢の小型犬に多く、重度の症状をわずらうと常時アヒルが鳴いているような呼吸音になります。
今回の記事では、気管虚脱における、原因、症状、治療などをご説明したいと思います。
気管虚脱はなぜなる?
気管虚脱はポメラニアンやトイプードルを代表とした小型犬でよくみられる疾患です。
気管支は硬い軟骨と軟らかい膜とが交互に蛇腹のように組み合わさってできています。
こういった小型犬が高齢になると、硬い軟骨部分が変形し、きれいな円形からひしゃげた平らな形になり、気道の径が狭くなります。
この変形は、加齢によるものだけでなく、肥満やよく吠えるなどの生活習慣も絡んできます。
気管支が狭くなると、簡単にひと呼吸で取り込める空気が簡単にできなくなるため、色々な症状が出始めます。
気管虚脱になったら
最初のうちはほぼ無症状なのですが、段々と空咳が多くなっていきます。
狭くなった気管支では空気が通常よりも早く流れるため、その場所では常に気管支が乾燥し、痰が絡みやすくなるからです。
最初は軽い発咳なのですが、段々と症状は悪化し、通常の治療では反応しなくなります。
さらに症状がすすむと、普段でも呼吸困難になり、呼吸のたびにがーがーとアヒルがない多様な呼吸になるほか、常に下の色が悪いなどといった換気不全になることもあります。
また、犬はパンティングで体温を調整していくのですが、重度の気管虚脱になると、パンティングによる体温調整も困難になるため、特に暑い日でなくても熱中症になったりします。
経験上、少し肥満気味のポメラニアンには多いので、高齢のポメラニアンを飼っている犬では注意が必要です。
治療法は?
基本的には気管支拡張剤を主体とする投薬治療が基本になります。
気管支を拡張させる外科手術もありますが、再発性が高いのと、気管支が細くなっている場所によっては適応不可能なこともあるので、あまり一般的ではないかもしれません。
セカンドセレクトでは、一般的な気管支拡張剤のほか、中枢性に発咳抑制効果がる鎮咳薬を用いて治療します。
また、頓服で使用していただく鎮咳薬なども処方します。
ですが、それでも根治は難しく、また維持管理もなかなか難しいケースもあり、自宅でレンタル簡易酸素室を用意していただくこともあります。
特に高齢な肥満傾向の犬にこの病気は多いため、簡単に換気不足からくるチアノーゼになることもあり、通院の負担も非常に多いため、セカンドセレクトでは犬の状況によっては往診をお勧めする場合もあります。
まとめ
自分の家の愛犬が、寝苦しそうに息苦しく過ごしている姿を見るのは本当につらいことだと思います。
セカンドセレクトでは一般的な治療に加え、往診での診察も可能ですので、できる限り苦しい思いをしている犬への治療の負担は最大限に減らすことができると思います。
もしご自宅の愛犬に気管虚脱の傾向があるようであれば・・いつでもお気兼ねなくご相談ください。