人間はとにかく背骨の病気が多い動物です。

理由は直立で立っていることが多いため、背骨にかかる負担が非常に大きいからと言われています。

この記事を読んでいる飼い主様ご自身の中にも椎間板ヘルニアなどを患っている方もいるかもしれません。

犬種によっても発生する確率は異なるのですが、犬も背骨の病気はよくみられるものです。

今回ご紹介したいのは背骨の病気のなかでも、老犬の健康診断で良く見つかる病気、変形性脊椎症についてご説明したいと思います。

変形性脊椎症とは?

脊椎というのは背骨の1つ1つの骨のことで、哺乳類は共通して頚椎が7個、胸椎が13個、腰椎が7個あります。

変形性脊椎症はその名の通り、その脊椎が変形する病気です。

老齢性の変化としてとらえられており、基本的には犬種によっても発生率は異なりますが、ほぼすべての犬種において年齢を重ねると出てくる症状です。

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変形した脊椎の個所は安定性が失われやすくなります。

たいていの場合は無症状なのですが、安定が失われた脊椎は時折炎症や痛みなどがでやすいため、背を丸めて歩いたり、触ると嫌な顔をしたりすることがます。

ぼく自身の経験上、老齢の日本犬のMIXや比較的体形が大柄な犬にみられることが多く、また体の真ん中あたりの脊椎で発生することが多いと思います。

安定性がさらに失われると、椎間板ヘルニアのような神経麻痺がおこります。

変形が起こる場所が体の真ん中あたりなので、出てくる症状はたいてい後肢の異常になります。

ただ、ミニチュアダックスのような後肢の完全麻痺を起こすような強い神経症状が出ることは少なく、どちらかというと足をぴんと投げ出して座ったり、ロボットのように突っ張って歩くようになることが多いと思います。

セカンドセレクトの対応法

一般的には老齢犬に多くみられるため、無症状であれば様子を見ていただくことがほとんどです。

痛みがありそうなときにのみ、鎮痛剤を処方することもありますが、安静にしていれば治まることも多く、頓服のような形で使用していただくことが多いと思います。

歩行に異常がみられる場合は、以前からこのブログでご紹介しているω3製剤のサプリメントを服用していただいています。

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ただ、歩行に異常が見られる老齢犬は、後肢の、筋量の衰退が激しいので、リハビリを積極的にご相談しています。

セカンドセレクトでは鍼治療のほか、リハビリを目的としたリンパマッサージなどを行っております。

往診でも行うことは可能です。

特に移動の難しい高齢犬で、同様のお悩みをお持ちの飼い主様はぜひともご相談ください。

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手術は基本的にはあまりお勧めしていません。

胴長短足で重心の取りやすいミニチュアダックスと違い、変形性脊椎症を患っているほとんどの症例は中型犬であり、重心のバランスが非常に取りにくいことが多いからです。

特に脊椎の固定は、術後に神経麻痺が一過性に悪化することが多く、そこからの回復はミニチュアダックスのそれに比べると非常に困難というのがぼくの意見です。

もし手術をご希望であれば、セカンドセレクトで行うことも可能ですし、状況に応じては専門病院をご紹介することもありますので、どちらにせお気軽にご連絡ください。

まとめ

昔の元気なころに戻してあげたいというのは、高齢のペットを飼っている飼い主様であれば一度は思ったことがあると思います。

ただ現実は元に戻す方法はなく、年齢に応じたケアをしてあげるのが、動物にとって一番誠実な医療になるだろうと思います。

鍼を代表とする様々な理化学療法がありますので、お気兼ねなくご来院ください。

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