犬や猫の運動性はかなり高く、特に後肢の能力は人間の運動能力をはるかに凌駕するものだと思います。

その分、各関節にかかる負担も大きいので、後肢がいきなりびっこをするというのは日常茶飯事だと思います。

犬や猫の後肢がびっこを引き始めたとき、その原因の大部分は膝関節だと言われています。

特に激しい運動などが原因となり、前十字靭帯を損傷する犬や猫は多くいます。

一方で体幹に近い股関節を受傷するケースは、膝関節に比べると少ないものの、もともと股関節の骨格が悪いとか、年を取って後肢の筋肉が少なくなるとか、肥満気味等の素因があると股関節も傷みやすくなります。

今回は股関節でよくみられる怪我、股関節の脱臼についてご説明したいと思います。

股関節の脱臼はなぜ起こる?

股関節の脱臼は激しい外力によっておこることがほとんどですが、どんな動物でも力が加われば簡単に股関節が脱臼するわけではありません。

股関節は寛骨と呼ばれる腰骨と大腿骨がちょうど臼と杵のようにはまり込んで関節が作られます。

たいていの場合は腰骨側のへこみの部分が浅いために関節の強固な結合が失われている犬に多くみられます。

また、股関節は他の関節と異なり、靭帯によって強固に固定されることなく、筋肉のみで固定されているため、高齢になって筋量が少なくると、ちょっとした外力で簡単に脱臼してしまいます。

セカンドセレクトでの対処法

セカンドセレクトでは、股関節を脱臼した動物が来院した場合、提案としては以下の2つのご提案をさせていただいております。

  1. 脱臼をその場で整復させ、安静にして様子を見ていく
  2. 外科手術(骨頭切除)

①の方法では、小型犬の場合は比較的簡単に整復することができます。

ただ一度股関節の脱臼を起こすと、たびたび再発するのが一般的です。

年齢が高齢もしくは一般状態があまりよくない場合であれば、再脱臼をおこしたらまた整復を試みることがほとんです。

また再発が1年、2年たって起こった場合も、その場での整復をお勧めします。

一方で安静にしていたとしても、すぐに再脱臼してしまうケースもあり、その場合は外科手術をお勧めしております。

骨頭切除という方法は一般的に行われる方法で、大腿骨の杵の頭の部分を切り落とす手術です。

初めて手術の方法を説明された飼い主様のほとんどが、「その方法でまた走れるようになるのか?」とご心配されるますが、小型犬から中型犬であれば予後はとても良好です。

人間のような大型の動物で、ましてや2足歩行の動物は、体重の負荷がとても強く、特に股関節は非常に重要な役目をしているので、切除するという手術はあり得ません。

体重の軽い4つ足歩行の動物は、基本的に体重の負荷が少なく、またもともと股関節は靭帯での固定がされていないので、この方法が成り立ちます。

セカンドセレクトで手術を行う際は、当院ではなく協力していただいている紹介病院にて執刀していただいています。

ご料金は手術費込みでおおよそ20万円ぐらいとのことです。

まとめ

股関節の脱臼は、後肢で起こる外傷の中でもとにかく激しい疼痛が起こります。

緊急手術が必要なケースはほとんどありえませんが、温存療法にしろ外科手術にしろ、できる限り早めに対応してあげたいところです。

セカンドセレクトではいつでも提携病院と連携を取ってできる限りのご対応をしますので、何かあればすぐにご連絡ください。

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