人間に比べると犬や猫の目の病気は比較的多く、特に目の表面の角膜に見られる病気は動物病院でも日常的に診られます。
一説には角膜の表面に出ている神経が、犬や猫は人間と比較してかなり少ないからとも言われています。
そう思うと、犬や猫は目の中に大きな糸くずなどが入っていても全く気にしないのは不思議ではないかもしれません。
角膜の病気の中には慢性的な疾患も多く、多くの場合飼い主様も日常的なケアが必要な病気がほとんどです。
今回はそんな角膜に起こる病気の中の代表的な病気、乾性角結膜炎をご説明したいと思います。
乾性角結膜炎とは?
乾性角結膜炎はいわゆるドライアイと呼ばれる症状で、何らかの理由で涙の分泌量が減少し起こる疾患です。
通常、涙は液性の涙と油性の涙が混合しています。
正常な涙層では眼の表面である角膜の上に油性の涙が土台を作り、その上に液性の涙が保持されることで形成され、角膜を保護する役目をしています。
乾性角結膜炎は涙の成分のうち液性の涙が分泌されなくなることで起こります。
ちなみに油性の涙が出なくなると出る病気としては涙やけがあげられます。
液性の涙は瞬膜と呼ばれる眼の内側にある膜や眼瞼周囲にある分泌腺から分泌されるのですが、涙液生成機能の低下はこれらの分泌腺が局所的な免疫異常を起こすためと考えられていますが、今のところ分かっていません。
乾性角結膜炎になった動物の目の表面は常時乾いたような感じになるため、角膜全体が濁ったような外観になります。
涙液の中には抗菌、抗炎症作用を有するたんぱく質が含まれているのですが、これも分泌されなくなるため、常に角膜の表面は刺激、感染を起こし、結膜炎が継続的に診られるようになります。
また油性の涙が目の表面にへばりつくため、ドロッとした目やにが目の表面に付着し、また感染を起こすと色のついたガビガビとした目やにが目の周囲に固着するようになります。
ケアの方法は?
乾性角結膜炎は基本的には根治しない病気のため、目の異常に気付いたら早めの段階からケアをしていくことが大切だと思います。
初期段階では見た目からは乾性角結膜炎はわかりにくいことも多く、シルマー試験と言われる涙量を計測するための試験紙で確認します。
涙量が低下していることが判明した場合、ヒアルロン酸などが含まれている点眼液や眼軟膏を使用していきますが、症状が進んでいる場合は細菌の2次感染を起こしていることも多く、抗生剤を使用していきます。
割と多くの場合、乾性角結膜炎は免疫異常からくるため、免疫抑制剤を含んだ眼軟膏などを使用します。
こういった治療により反応が良好な症例でも、点眼を中断すると再発するケースも多いため、結局のところは飼い主様の毎日のケアによって維持をしていくことになります。
まとめ
どんな病気でも慢性的な疾患は飼い主様が管理していくことになるため、負担もかなり多くなると思います。
セカンドセレクトではできる限り飼い主様のご負担を軽減するような治療を行っていますので、お気兼ねなくご相談いただければと思っております。