飽食の時代と言われて久しい日本社会。
ペットの食事も栄養価に富み、嗜好性も非常に向上したため、今の日本人と同じような問題が色々出ています。
高脂血症、塩分過多・・・結果として出てくる病気も、人間のものとほとんど変わりません。
そんな病気の中でもあまり自覚症状がなく、また簡易的な検査で判明する病気としては尿路結石があげられます。
年齢、品種を問わず、犬や猫、ウサギになどにもよくみられる疾患です。
犬や猫の尿路結石の場合、一般的な治療法としては食事療法などがあげられますが、どの食事を与えればいいのか?本当にその効果があるのか?など不安に思われる飼い主様も多くいらっしゃいます。
今回の記事ではこういった食事の説明も含めた尿路結石についてご説明したいと思います。
尿路結石はなぜできる?
一般的に尿路結石の主成分は食事由来のものになります。
尿路結石の種類によって結石の核となる成分は異なるのですが、代表的なものはマグネシウムやリン、カルシウムと言ったミネラル成分になります。
これらの成分は体にとって不必要なのかと言われればそうではなく、体を構成するための大切な栄養源です。
こういった成分が過剰に入っているような食事、もしくは必要以上に食事の量を与えていると尿路結石が見られやすくなると考えられているのですが、適切な食事の内容、量を与えていたとしても尿路結石が見つかってしまったという場合がほとんどです。
同じ家で飼われている犬や猫でも、同じ食事、同じ量を与えていたとしても結石が見つかる仔と、見つからない仔がいることはよくあります。
結局のところはよくわかっていないのですが、食べた食事を代謝していく過程で、おそらくは完全な状態まで分解できず、途中段階で排泄されてしまうため尿路結石ができやすいのではと考えられています。
こういった体質を測定する方法は今のところありません。
まれに病的な原因で尿路結石が出てくる場合もあるのですが、そのほとんどは病的なものではなく、いわば太りやすいのか太りにくいかというものと同じレベルの体質の問題だと思います。
したがってどのペットが尿路結石になりやすいのかということを事前に知るすべはないので、心配な方は定期的に尿検査を行って観察していくほか今のところありません。
尿路結石の症状
尿検査を行うと、意外と多くのペットに尿路結石が見られます。
ペットの尿検査は大概の場合、膀胱炎など何かしらの尿の異常が見られたときに行うか、健康診断の一環として行うことがほとんどで、尿路結石が見つかるのはほとんどの場合「たまたま」見つかります。
尿路結石があったとしても自覚症状はほとんどない場合が多く、尿路結石が原因で何かしらの症状が出る場合は、膀胱結石として膀胱内に大きな結石ができるか、もしくはオス犬やオス猫の陰茎に尿道閉塞を起こすかどちらかです。
尿路結石があると雑菌が繁殖しやすくなるので膀胱炎にはなりやすいとは言われますが、尿路結石がない犬や猫でも膀胱炎はよく見られます。
個人的には膀胱内の環境がもともとよくない犬や猫は膀胱炎にもなりやすいし、結果として尿路結石も見つかりやすいのだと思います。
食事療法は必要?
基本的には必要だと思います。
尿路結石の原因はほぼ体質です。
残念ながら体質を治すことはできません。
したがって尿路結石に核となりやすいミネラル成分を可能な限り抑えた療法食を食べさせるのが、結果としては一番無難な方法だと思います。
ただ療法食にした時の問題点もいくつかあります。
一つ目は嗜好性の問題です。
特に猫で多いのですが、尿路結石用の療法食をなかなか食べてくれないという飼い主様も多くいらっしゃいます。
特に多頭飼育している猫の場合は処方食を特定の仔に与えるのは確かに非常に困難だと思います。
今では各メーカーから色々な種類の味が出ているので、幸運にもどれか食べてくれればいいのですが、必ずしもそうだとは限りません。
そういった場合は、セカンドセレクトではサプリメントで代用をしていただくケースもありますのでご相談ください。
またほかの問題点としては、併発疾患があった場合、尿路結石用の食事を与えにくい時もあります。
ここ数年でアレルギー体質をもった犬や体重管理も同時に行えるような尿路結石用の食事も出ているのですが、腎不全を起こしている場合や、脂質を必要以上になくしたい場合などは尿路結石用の食事は選択しにくくなります。
このような場合、セカンドセレクトでは尿路結石による健康のリスクがどれくらいあるのかを検討し、どの処方食を与えるか、場合によっては手作りの食事を検討するべきかなどをご相談させていただいています。
また、尿路結石もその時々によって見つかるときもあれば、見つからない時もあります。
個人的には1回の検査で尿路結石が見つかったとしても、すぐに尿路結石用の食事に切り替える必要はあまりないと思っています。
食事の問題はたかが食事と思われますが、されど食事です。
特に毎日のことですので、そのコストも考え、もっとも効率がよく、かつぺっとも喜んで食べてくれる食事をを選んでいただきたいと思っています。
健康第一に考えるのももちろん理想ですが、がつがつとよく食べてくれる姿を見るのも飼い主い様の幸せの一つだとぼく自身は考えています。
大きな結石になったら・・・
動物の中には厳密に食事療法をおこなっても結石がなくならないこともよくあります。
こういった動物たちではしらべるといきなり膀胱内に大きな結石が出来ているケースもあります。
このような膀胱結石が見られた場合、セカンドセレクトではオスとメスで対応が若干異なります。
オスの場合は手術を最初からお勧めしています。
理由としてはある程度の大きさになった膀胱結石は突然尿道につまり尿道閉塞を起こす可能性があるからです。
一度尿道閉塞を起こすと、たびたび尿道閉塞を起こすようになり、腎臓に与える影響は非常に大きいものとなります。
一方でメスの場合は尿道が太くて短いので尿道閉塞を起こすリスクはほとんどありません。
したがって、動物の状況にもよるのですが、自覚症状があまりなければいきなり手術ではなく、ある程度長期的なスパンで食事療法を行い、自然に排泄されるのを待つもの一つの選択であることはいつも飼い主様にはお伝えしています。
手術をしても結局また膀胱内に結石が出来てしまうケースがよくあるというのもその理由の一つです。
ただし、結石の種類によっては食事療法によって結石が縮小することはないので、尿検査によって見られた結石の種類によっては手術をせざる得ない場合もあります。
手術の方法は基本的には膀胱切開を行い、膀胱内の結成を摘出するというものです。
たまに飼い主様によっては、人間で使用するような超音波粉砕機を希望される方もいらっしゃいますが、基本的には適応症例外となります。
膀胱内の結石は微小なものまで根こそぎとれる膀胱切開の手術と異なり、粉砕機では粉砕した結石を吸引して摘出します。
開腹せずに行える利点がある反面、細かな結石が残ってしまうこともあるため、また短期間で結石が見られることが多くあるからです。
超音波粉砕機は基本的にはオス犬で、かつ尿道内に結石があり、尿道閉塞を越しているようなケースが適応症例だと一般的には言われています。
まとめ
実際のところ、動物病院で取り扱っている処方食の中では尿路結石用の処方食がダントツで多いと思います。
したがって動物病院としても尿路結石用の食事はお勧めしやすい食事の一つであり、それはセカンドセレクトでも同様です。
ただ、最近では処方食は動物病院以外でも簡単に購入できますし、処方食と名を打っていなくても尿石を抑えてくれる食事も多数あります。
ぼくとしてはどこでどんな処方食を使用しても結果的に尿路結石が予防できているのであればいいと思いっているので、食事の内容についてご不安な方はいつでもご相談ください。
最後にちょっと宣伝をいれるのであれば、セカンドセレクトではたまに処方食30%OFFで販売していますので、当院のHPをたまにチェックしていただくと幸いです。