安楽死、尊厳死、色々な言葉はありますが、人間の医療ではいつでも、どこの国でも議論の的になります。

現在の日本の医療では安楽死は認められていません。

一方、動物医療の世界ではと言えば、安楽死は獣医師の裁量として行うことが出来ます。

ただ、安楽死を受け入れるにあたり、明確な基準がなく、あくまでも担当した獣医師と飼い主様の主観的な判断によるところが多く、動物愛護の観点からもしっかりとしたガイドラインが必要であると言われています。

もちろんぼく自身も臨床の現場に長年携わっていますので、多くの安楽死のご相談を飼い主様からお受けすることがあります。

個人的には、安楽死処置に至るまでには様々な要因があり、動物医療の中では必要な処置の一つだと思っています。

今回はそういったペットの安楽死についてご説明したいと思います。

安楽死を希望する理由

安楽死を希望方の理由として、一番多いのがやはり苦痛を伴う不治の病を患っているということです。

ただ調子がわるいだけでなく、痛みやひどい下痢や嘔吐、痙攣などは動物だけでなく飼い主様を苦しめる症状となります。

特に病状の悪化や老衰などにより自宅で寝たきりになっている動物がそのような状況になった場合、飼い主様自身の精神的な圧迫も非常に大きくなりますので、そのようなご家庭では獣医師の方から提案することもあります。

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また、認知症も飼い主様にとっては大きな問題となります。

特に中型犬以上の犬が夜鳴きを始めた場合、近所の住人への騒音問題に発展するため、飼い主様にとっては非常に大きな問題になります。

動物医療の安楽死の理由はほとんどが上記の理由であり、ほとんどの獣医師は飼い主様が都合ばかりを優先するような理由であれば、安楽死を拒むと思います。

自分のペットに安楽死を考える時。往診動物病院での依頼例。

安楽死の方法

基本的には注射麻酔薬を高濃度に血管に入れ、苦痛なく眠りにつかせるのが主流です。

薬剤投薬後、30秒程度で生命反応はすべて消失しますので、獣医師が心拍、瞳孔反射の消失などを確認します。

おおよその平均的な費用は、小型犬、猫で30000円-50000円程度だと思います。

その後の対処

一般的には私営の動物霊園に連絡をし、遺体の処理を行うことが多いと思います。

人と同じような対応ができるところも多いのですが、対応そのほかの対応の質には大きな違いが霊園によってあります。

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また、犬には死亡届が義務付けされており、死亡後30日以内に狂犬病の鑑札とともに死亡届を各自治体に提出しなければなりません。

一方で猫の場合は届出の義務はなく、特に報告することはありません。

まとめ

人間とは完全に条件が一緒ではないのですが、動物の安楽死もまた非常に見解が分かれるものだと思います。

個人的な経験から言えば、最後を看取るのはやはり自宅で看取りたいと思っていらっしゃる飼い主様は非常に多く、安楽死も自宅で行えないのかというご意見は多いと思います。

このブログを最後まで読んでいただいた飼い主様のほとんどが、非常に深く悩まれているのではないでしょうか?

往診での安楽死は可能ではありますが、大切なのは安楽死に至るまでのプロセスだと思いますので、実際にその決断をする前に、経験のある獣医師として苦しんでいる皆様のご相談に是非とものりたいと思っています。

他人に相談するのは少し気が引けるかもしれませんが、いつでもお気兼ねなくご相談ください。

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