人間もペットも今の日本は高齢化社会。
年齢を重ねると出てくる病気は、古今東西みなさまご興味があると思います。
診察しているといつも思うのですが、高齢の仔のがかかる病気というものは、老衰とのボーダーラインがあやふやになり、これを病気と言っていいのかどうか迷うことも多くあります。
特に飼い様が高齢の猫を診察に連れてきた時、その理由が「なんか最近痩せてきた」ということが多く、どこまで検査や治療を行うのか、事前の話し合いが必要となります。
今回は、高齢の猫において、「なんか最近痩せてきたな?」と思った時に、年齢による衰え以外でどういうことがか考えられるのか、ご説明したいと思います。
慢性腎不全
高齢の猫でかかる病気と言えば、一番がこれだと思います。
腎臓という臓器は一度障害を受けると回復しないという弱点を持っているのですが、そのかわりにもともと余剰な機能を持ち合わせています。
腎臓は片方なくても問題はないというのは、腎臓自体の機能にもともと余剰分があるためです。
ところが、猫の場合、この余剰分がほかの動物に比べるとあまりにも少ないので、特に大きな障害がなくても、加齢とともに腎不全を起こしやすくなります。
初期の段階ではあまり大きな変化がないのですが、少し嘔吐が多くなるのと、体重の減少が気づいたときには進んでいることが多くあります。
最近毛づやも悪くなってきたと思ったら、一度検査を考えてみてもいいかもしれません。
尿検査と血液検査を合わせて行うのが理想だと思います。
糖尿病
糖尿病は猫でも起こる病気なのですが、人間のそれと少し違うコンセプトで治療されることがほとんどです。
なぜなら、もともと猫は肉食動物ですから、食事の内容も、食事が体の中で代謝される経路も人間とは異なるので、そもそもの血糖値の意味が全く異なります。
症状としては少し体重が増え、多飲多尿がおこったあたりから少しずつ体重が減ってきます。
注意深く見てみると、毛づやが落ちるというよりは、脱水により皮膚が硬くなるような感じになるほか、背中の筋肉がおち、少し腹部が膨満気味になります。
気になるようであれば、尿検査で簡単に尿糖が出ているかどうかですぐわかります。
専用の検査用紙も今はネットで簡単に手に入りますので、ご自宅でできる健康チェックの一環として行ってみてはどうでしょうか?
甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症は高齢の猫で割とよく見かける病気です。
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特徴としては食欲が非常にあるのにもかかわらず体重がどんどん減っていきます。
また、嘔吐などの回数が増えることも多くあるのですが、見た目は非常に元気なので、多くの飼い主様が異変に気づくのに遅れる病気です。
高齢な猫がなる肝障害の大きな原因の一つとなり得る疾患なので、高齢の猫を飼われている飼い主様であれば、頭の中には入れておいていただきたい疾患です。
割と初期の段階であれば、食事療法だけで何とかコントロールすることも可能ですので、気になるような方は、年に1回程度で構いませんので血液検査を行うことをお勧めします。
まとめ
ご自宅で高齢の猫を飼育するにあたって、体重の変化は頻繁に気にしていただいた方がいいと思います。
体重の増減は体調の変化をよく反映しますので、週1回ほどの頻度でみておくのが理想です。
体重の変動があった時、それが年齢によるものか、病気によるものか、最終的には獣医師の判断が必要だと思います。
かといって、高齢の猫を動物病院に連れいていくのはちょっと・・・とお考えであれば、往診の動物病院などご利用していただいてはどうでしょうか?