こんにちは、セカンドセレクト獣医師の斉藤です。

犬も人も高齢になるとかかりやすくなる典型的な病気は幾つもあります。

ペットも高齢化社会と言われ始め、高齢犬になった時になりやすい病気に対する知識を含めた備えというものは、以前に比べてより重要性が増したと思います。

今回は高齢犬が患う病気の中でも、意外と気がつきにくい病気、甲状腺機能低下症についてご説明したいと思います。

甲状腺機能低下症とは?

甲状腺は首ののどぼとけ辺りにある分泌腺です。

副甲状腺

甲状腺ホルモンはその名の通り甲状腺から分泌されます。

甲状腺ホルモンは全身の代謝をつかさどるホルモンですが、このホルモンの分泌される能力が低下していく病気を甲状腺機能低下症と言います。

人間の、特に女性の方でも多い病気で、更年期障害だと思って病院に行ったら実は甲状腺機能低下症だったと診断されるぐらい、典型的な自覚症状はあまりない病気で、別名「橋本病」と言われています。

原因

甲状腺機能低下症の原因は色々なことが言われてはいますが、基本的には膠原病の一種で、自分の免疫系の過剰な働きにより甲状腺が破壊され、機能が低下することによって起こります。

おもに中高齢期に起こりやすく、一度甲状腺の破壊が進むと、その破壊を止める手立てはありません。

症状

典型的な症状はないのですが、一般的には甲状腺ホルモンが低下することで全身の代謝が低下します。

その結果、活動性が低下したり、食欲が減退したり、太りやすくなってきます。

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その他よく表れる症状として、皮膚に湿疹や脱毛が起きたり、高脂血症になるなどの他、腸の運動能力が低下したり、繁殖障害、時には痙攣などを起こすケースも稀にあります。

検査の方法

実は困ったことに、甲状腺機能低下症を確定診断する方法はありません。

甲状腺ホルモンの血中濃度を調べることで甲状腺機能低下症かどうか調べていくのですが、明らかに甲状腺ホルモンの量が少ない場合は診断がつけやすいのですが、個体差が非常に大きく、割とグレーな感じの診断になることが多いと思います。

獣医医療領域では、甲状腺機能低下症は通常、皮膚病をともなうことが基本と考えており、皮膚病の伴わない甲状腺ホルモン量の低下は甲状腺機能低下症と診断されない場合も多くあります。

ですので臨床的には、甲状腺機能低下症と判断された場合、治療を開始してみて、明確な改善があるかどうかで、最終的に甲状腺機能低下症だったのかどうか見ていくのが普通です。

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治療法

繰り返しになりますが、一度失われた甲状腺は回復することはないので、不足している甲状腺ホルモンを内服にて投薬していくのが基本的な治療法です。

そのため、甲状腺機能低下症の治療は投薬が一生涯続きますので、投薬が困難な犬に関しては治療が難航するケースもあります。

ただし、人間に使用する甲状腺ホルモン剤は副作用があり、甲状腺中毒を引き起こす危険性があるのですが、犬の場合はその特性上、副作用はほとんどありません。

もちろん過剰なホルモン剤の投与は心疾患を引き起こす可能性があると言われていますが、非常に稀だと思います。

ぼくの個人的な経験では、慢性疾患の中では割と治療のしやすい病気だとは思います。

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まとめ

甲状腺機能低下症は大型の老犬に多いのですが、とにかく大型犬の通院は骨がおれます。

この病気の治療は基本的に血液検査と投薬のみなので、往診でも十分なレベルの治療を行うことが出来ます。

もし飼っている犬が年齢のせいかもしれないけれど、最近何か元気がなくなってきたな?と不安に思ったら、往診医に相談してみてもいいかもしれません。