飼っているペットを動物病院に連れいてこうと思っても・・・物理的に難しい時って結構あると思います。
動物病院で勤めているときにも、「動物病院に連れて行けないんです」という問い合わせを多くいただきました。
連れて行けない理由はいろいろあるのですが、そのなかでも飼っていらっしゃる犬が歩けなくなって、飼い主様だけでは連れて行くのが不可能だという方が多くいらっしゃいました。
特に大型犬の飼い主様にとっては切実な悩みだと思います。
今回はそんな動物病院に連れて行きたくてもいけない大型犬の飼い主様が、どのようなことを往診で依頼されているのかご紹介したいと思います。
定期的な健康診断
犬が年をとればとるほど、日ごろからの健康診断は必要になってきます。
もちろん、ご自宅でも飼い主様ご自身でできるチェックもあります。
大型犬であれば少し難しいかもしれませんが、体重などはこまめに測れるといいと思います。
何かしらの疾患があった場合は食欲が落ちていなくても、体重が落ちているケースもあります。
また飲水量も隠れた病気を見つける上では、大きな指標になります。
大型犬でも1日で3~4L以上飲むようであれば注意が必要です。
こういった日ごろのチェックに加え、1カ月に一度程度、獣医師による触診、視診、聴診でもかなりの状態は把握できますし、血液検査なども3カ月~1年に1回程度行えれば、非常に良いと思います。
往診をご利用いただければ、高齢の大型犬を移動する苦労もないため、利用価値は非常に高いと思います。
褥瘡の管理
体重の重い犬が、寝たきりになった場合、一番厄介なのが床ずれ、褥瘡の管理になります。
小型犬であればそれほど問題にならないのですが、大型犬は体位を変えるだけでも一苦労ですし、衛生的に保つのも大変な労力が必要です。
一人では解決できないような問題でも、獣医師がご自宅まで伺い、犬を衛生的な状態にするために、シャンプーや消毒、場合によってはレーザー治療器などを用いた温庵療法を行うことも可能です。
こういった治療を、飼い主様によっては週2回程ご依頼されるかたもいらっしゃいます。
補液などの治療
いよいよ食欲などがなくなった場合、定期的な皮下補液などを行うこともよくあります。
皮下補液とは直接血管へ点滴を施すのではなく、皮下注射により水分やビタミン剤、強肝剤などを投与する治療です。
主に口から食事や水が取れない動物にはよく実施する方法なのですが、治療というよりはケアに近いものであり、カロリーが十分とれるわけではないので、定期的に行ったとしていても徐々に衰えては行きます。
飼い主様によっては、延命治療のような印象を持つため、あまり好まない方も実際にはいらっしゃいます。
ただ、個人的な意見としては、皮下補液を実施した後は、幾分犬本人も楽そうな表情になり、多少動きもよくなるので、特に脱水を起こしているような老犬には非常に適した治療だと思います。
こちらも往診をご希望される理由として、よくあるものです。
鍼治療、マッサージなどのリハビリ
足腰の立たなくなった大型犬をご家族だけでリハビリを行うのはかなり困難だと思います。
リハビリ専門の病院もありますが、やはり通院が基本ですので、リハビリが必要な大型犬をそもそも連れて行くのは非常に苦労されると思います。
リハビリ自体は、道具があればご自宅でも本格的に行うことができますので、往診で飼い主様とリハビリをしっかり行うこともあります。
鍼なども定期的に行うのは、筋量を維持するのに非常に適していますので、週1回程度の頻度で続けていただくのが理想だと思います。
まとめ
大型犬が介護となった場合、その苦労は人のそれとあまり変わらないのだと思います。
そんな苦労を、往診医として飼い主様の負担を少しでも減らしてあげることできればと常々思っています。