春先と初夏の時期には道端に小さな仔猫がふらふらと歩いていることが多いと思います。
おそらく親猫とはぐれたのかもしれませんが、よくみると目ヤニや鼻水で顔がぐしゃぐしゃになり、衰弱していることが多くあります。
今回はこういった猫を保護した時にどうするのがいいのかご説明したいと思います。
まず、症状の原因は?
たいていの場合、こういった症状はよく猫風邪などと言われる伝染病で、正確には猫ウイルス性鼻気管炎(FVR)と言われています。
猫ヘルペスウイルスというウイルスに侵され、細菌の二次感染の影響を受け、こういった状況に陥っています。
猫ヘルペスウイルスはあまり強い病状を示さないのですが、何らかの原因で免疫力が下がった猫が発症するとどんどん衰弱をしていきます。
仔猫は時に致死的になることもありますので、やっかいな感染症の一つです。
ちなみに人間には移りませんので、その点についてはご心配しなくても大丈夫です。
治療法は?
一度ウイルスの感染が成立してしまうと、2度と体外へ除去するのは、ヘルペスウイルスの特性上不可能です。
したがって、支持療法がメインとなります。
抗生剤を使用し、必要に応じ補水を促し、栄養をしっかり取らせて、猫の一般状態の改善を促していきます。
仔猫に食欲があればそれほどの治療は必要ありませんが、食欲もなく衰弱が激しいようであれば、徹底した管理が必要です。
自宅で迎え入れるために
こういった猫を保護した場合でも、行政の援助などは全く期待ができないため、基本的にはご自宅での管理がメインとなります。
ケージなどをご用意していただき、その中で看護していただくことになるのですが、すでにほかの猫を飼われているのであれば、ヘルペスウイルスは伝染力が非常に強いため、部屋を分けていただくなどの隔離が必要となります。
この辺りはどの飼い主様にも、非常に大きな問題になることが多いと思います。
環境が整ったら、あとは猫自身にももろもろ処置をしないといけません。
まず、エイズウイルス、白血病ウイルスの検査、これは血液検査になります。
また便があれば検便をしたほうがいいでしょう。
また、保護した猫は高い確率で、腸内に寄生虫がいるので、駆虫薬を飲ませるのと、ノミの駆虫も合わせてやるべきだと思います。
これらの処置は、猫の状態にかかわらず行ったほうが無難だと思いますので、治療と同時に行うのがいいと思います。
そのあと・・・。
仔猫が順調に回復した後は、ワクチンを1回接種します。
もし里親に出そうとするのであれば、この時点で一つの目安になります。
もしそのまま飼われるのであれば、2回目のワクチン、去勢、もしくは避妊手術を行います。
まとめ
嫌な言い方にはなりますが、仔猫を保護した時点で、その責任は保護した方に付帯されるのが今の現状です。
往診医としても保護した方にできる限りのサポートをしたいと思っています。
直接ご自宅にて処置を行うので、その際の環境のアドバイスなど、細かな助言ができると思いますので、保護した猫でこういった症状が出たら、一度ご利用してみるのもいいと思います。