血友病という病気を聞いたことがある飼い主様も多いと思います。

血液は血管の外に出ると速やかに凝固しかさぶたを作ります。

この一連の反応には数十の因子が関与しています。

血友病は遺伝的にこの因子が一部欠損しているため、正常な凝固反応が起こらず、一度出血があると止まりにくくなる病気です。

犬や猫でも全く同じではないのですが、同様に血液が止まりにくくなる病気がいくつかあります。

今回はそういった止血異常を起こす疾患の中で、もっともよくみられる病気、「免疫介在性血小板減少症」についてご説明したいと思います。

血小板とは?

ご存知の飼い主様も多いと思いますが、血小板は血液中にある細胞で、血管が破損し出血が起きたときに、自身が血を止める壁の役割をすると同時に、様々な凝固因子を分泌して、効率よく止血をすることが出来ます。

血小板自体は骨髄で生成され血中に放出されるのですが、自身には核を持たないため、血液中で増殖することはできません。

寿命はおおよそ10日程度と言われており、どこかで出血個所がない限り、血小板の数はおおよそ安定して存在しています。

血小板が出血以外で大きく減少する理由は大きく分けると2つあり、骨髄で血小板が作られなくなったか、過剰に血液中で壊されてしまっているかのいずれかになります。

免疫介在性血小板減少症は、自分の免疫をつかさどる細胞が自分の血小板を攻撃しはじめ、血小板の数が大きく減少する病気です。

血小板減少症の検査方法

血小板が血液中で過剰に壊される理由はいくつかあります。

感染症や腫瘍などから2次的に血小板が壊されることもあるのですが、犬の場合はほとんどのケースが特発性と言って、これといった原因がないのにもかかわらず、血小板が自分の免疫システムによって過剰に壊されてしまいます。

したがって免疫介在性血小板減少症を確定する診断方法は実際のところはないため、血小板の数が低下し、出血傾向が顕著に見られる症例に対し、そのほかの原因を排除していく除去診断という方法をとっていきます。

免疫介在性血小板減少症の症状は割と特徴的で、目や口の粘膜に内出血が起こったり、耳や内股の皮膚のところに紫斑と言った内出血の跡が見られるようになります。

飼い主様がみても容易に判断はつくと思います。

また、純粋な血小板減少症はその他の症状には乏しく、食欲や活動性などにはほとんど影響を与えません。

便に血が混じるとか、鼻出血などもそれほど多く起こりません。

除去診断には血液検査、レントゲン、エコー検査などにより、あらゆる可能性を客観的に排除していきますが、血小板が減少する根本たる原因が免疫以外にあった場合は、それが顕著に反映されているため、診断は割と容易に行えます。

治療法と予後について

基本的には免疫抑制作用のあるステロイドを主軸に投薬を行っていきます。

免疫介在性血小板減少症はたいていの場合、ステロイドによく反応するため、内出血なども1週間程度で治まっていくと思います。

免疫介在性血小板減少症により急変をすることはかなり稀だと思います。

飼い主様の中には、目に見えて内出血が広がっていくことも多いので、かなり慌ててしまうことあると思いますが、それほど焦って治療をすすめていく必要はありません。

ステロイドのによる効果が弱い、もしくは副作用がでる容量でしか病状がコントロールできない場合には、そのほかの免疫抑制剤を使用します。

当然、ステロイドも免疫抑制剤もそれぞれに副作用はあります。

こういった病気の時のコントロールの仕方の大前提としては、一つの薬を使用し大きな副作用を招くのではなく、多種類の薬を可能な限り少量ずつ使用し、大きな副作用を防ぐというのが一般的な方法です。

したがって、犬によっては数種類の薬を飲み続ける場合もあります。

その一方で寛解といって、一時的に薬を使用しなくても症状が現れなくなることもあります。

どちらにせよ、定期的に血小板の数を測定しながら、必要に応じて投薬の計画を練っていくのですが、基本的には予後はそれほど悪い病気ではなく、通常通りの生活を通常通り営むことは可能です。

まとめ

セカンドセレクトではこういった慢性的な疾患に関して多くの経験があります。

特に投薬などが長期的になった場合は、治療費の問題も出てくることもあります。

そうした場合はジェネリックや個人輸入などの利用していただくなど、飼い主様のご負担を少しでも軽減できるようにご協力いたします。

もし不幸にもこういった病気に出会ってしまったら、いつでもお気兼ねなくご相談ください。

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