ウサギという動物は日本の古来より昔話や童謡に登場する動物です。
その愛くるしい目と特徴的な耳の形は、子供だけでなく、どんな大人も引き付けることが出来ます。
以前から代表的な学校飼育動物として飼育されていますが、ここ数年でウサギの飼育頭数は爆発的にのび、多くのサイトでもウサギに関する情報が載っていると思います。
ですがその一方で、ウサギを診察してくれる動物病院はそれほど多くはなく、実際に飼ってはみたものの、調子を崩した時にどこの病院に連れていこうか不安になる飼い主様も多くいらっしゃるのも事実です。
セカンドセレクトではウサギの診察も行っています。
そんなウサギの診察の中でよく見られるのが、「食滞」「毛球症」「胃拡張」などと言った症状です。
今回はこのウサギにみられる代表的な病気についてご説明したいと思います。
ウサギの食滞とは!?
ご存知の飼い主様も多いとは思いますが、ウサギは常に採食を行い排便をします。
ころころと大粒の丸い便と盲腸弁と呼ばれる連なった少し軟らかい便をするのが正常です。
うさぎの食滞は何らかの理由で腸の蠕動運動が著しく低下し、便の量が小さい、下痢のようになる、もしくは全くでなくなるという症状が特徴的です。
便の変化とともに食事の量も極端に減り、次第に胃や盲腸にガスや食塊が多量にたまり始め、お腹を触ると張っているような感じになります。
通常であれば触っても胃は触知できません。
ただし大幅に拡張した胃は容易に触れることができるため、診断は割と簡単につけることが出来ます。
胃や腸の蠕動運動能力が極端に低下した腸内では、細菌叢が大きく変化します。
とくにウサギのような草食動物では腸内細菌叢の変化は非常に大きな影響を受けます。
常に腸内に存在している腸内細菌の中でも、うさぎにとって有毒な毒素を産生する細菌が増えるからです。
ウサギはこの腸内毒素に対する感受性が非常に大きく、場合によっては致死的になることもあります。
ちなみにウサギの腸の蠕動運動が低下する原因はよくわかっておらず、気温や室温などの環境的な問題や、ストレス、そのほかの病気的な要因などと言われており、そこに毛玉が絡むとさらに蠕動運動の能力は低下していきます。
治療法は?
犬や猫の場合、腸が閉塞したり何かしらの原因が腸内に存在した場合は外科手術が可能ですが、ウサギの場合、消化管の手術は不可能です。
なぜならウサギの腸粘膜は非常に薄く、メスなどの鋭利なものでも一度傷がついたら二度とふさがることはありません。
まれにあるのですが、ウサギの避妊手術などの際にメスで腸管を傷つけてしまい、手を尽くしたとしても術後に無くなることがあると言われています。
ですので、ウサギの場合、腸内に何らかの原因があったとしても基本的には投薬で治療を行います。
ウサギにとって毒性の高い細菌を死滅させるための抗生剤、腸の蠕動を亢進させる薬などを使用していくのですが、食欲不振が続く場合は食欲増進作用を狙ってステロイド系の薬を使用したりします。
大抵の場合は内服による投薬は効果に乏しいことが多いので、セカンドセレクトではある程度食欲が回復するまで皮下注射にて治療をすすめていきます。
ちなみに注射料金は5000円程度、内服は1週間で2000円程度になります。
またご自宅では、ウサギは回復傾向になると飲水をとてもするので、水の不足には気を付けていただき、場合によっては採食が不足している分は飼い主様に強制給餌をおこなっていただくこともあります。
いずれにしてもウサギの食滞は最悪の状態を招く病気の一つですので、完全に治癒しきるまでは油断ができない病気だといます。
まとめ
今回ご紹介した病気以外にも、斜頸やスナッフル、子宮疾患など多くの病気があります。
セカンドセレクトでは内科的な病気だけでなく、外科手術もご対応可能ですので、なにかご心配な飼い主様がいらっしゃいましたら、いつでもご相談ください。