犬や猫以外の動物を獣医師はエキゾチックアニマルと呼んでいます。

犬や猫と違い、鳴き声が大きくないとか、世話がしやすいなどのイメージから飼い始める飼い主様も多くいらっしゃいますし、ヘビやトカゲなどの爬虫類など珍しい動物が好きな飼い主様もいらっしゃいます。

セカンドセレクトは基本的には犬と猫の診察が中心なのですが、そのほかの動物も診察できる限りは行っています。

そういったエキゾチックアニマルの中でよく診察する機会が多い動物のひとつがフェレットです。

以前に比べるとだいぶと飼育頭数は落ち着いているのかなとは個人的に思うのですが、まだ根強い人気があるエキゾチックアニマルです。

今回ご紹介したい病気はこのフェレットの副腎疾患です。

フェレットを飼っていらっしゃる飼い主様の中では、知らない人は多分いないだろうというぐらい有名な病気です。

セカンドセレクトでの診察方針も交えてご説明したいと思います。

フェレットの副腎疾患の原因は?

フェレットのがなぜ副腎疾患が多いのかはよくわかっていませんが、一般的には早期の去勢手術や避妊手術をすることが原因と言われています。

早期に避妊手術や去勢手術を行うと、体が成熟した時に脳が卵巣や精巣がないことに気づかず、卵巣や精巣の機能を向上させるようなホルモンを過剰に分泌させるようになります。

その過剰に出たホルモンが副腎皮質を不自然に刺激することで、フェレットの副腎疾患は発現していきます。

その症状・・ほっといても大丈夫?

フェレットの副腎疾患の代表的な症状は全身的な脱毛です。

脱毛は尾や後背部から始まり、腰部、胸部にも段々と広がり、頸部や顔面、四肢以外の体のほとんどの部分の毛が抜けていきます。

脱毛した場所は、細菌の感染を起こしたり掻痒感を出したりしますが、逆に言えばその程度で終わってしまいます。

ただ、病状が進行すると、オスの場合は前立腺が肥大し、排尿困難を起こすことがあるため、状況としてはかなり切迫することもあります。

また雌では貧血が進行することもあり、著しい食欲の低下や衰弱などが見られることがあります。

また最終的には過剰に働きだした副腎が腫瘍化することもよく見られます。

副腎腫瘍は悪性度の高い腫瘍であり、周りの臓器にも転移をすることもあるので、フェレットの余命を著しく短縮させます。

結局のところ、無治療で経過を見た場合には、脱毛以外の症状が出た場合には予後はとても悪いケースも多く、あまり無治療で様子を見ることはお勧めしません。

治療法は?

セカンドセレクトではフェレットの副腎疾患には初期段階としては月に1回の注射治療をお勧めしています。

フェレットの副腎疾患は脳内から分泌される性ホルモンを刺激するホルモンが大きな影響を与えているのですが、注射にはそのホルモンの活性を抑える作用があります。

大きな副作用はあまりないとはされていますが、注射薬自体が高価であることと、病気の根本を治癒させる治療ではないため、定期的に生涯投与が必要になります。

セカンドセレクトでの注射料金は1回1万円です。

これを1か月に1回から1.5か月に1度ほど行います。

2から3回の注射で目に見えて症状は改善していくのですが、注射の治療を継続しても病状が改善しないケースや再発するようなケースでは外科的な手術が必要になります。

外科的な手術の難易度は左右の副腎のどちらが主病変なのかによって難易度が異なります。

一般的には右側の副腎は太い動脈と隣接しており、副腎の大きさがある程度大きくなると摘出が困難になると言われています。

ぼく自身はフェレットの副腎疾患は執刀したことがないのであまり適当なことは言えないのですが、ここ数年で医療機器が格段と改善され、血管を傷つけることなく腫瘍病変を融解したり、剥離したりできる機器もあるので、以前よりは安全性の高い手術が行えると思います。

まとめ

セカンドセレクトはエキゾチックアニマルの専門病院ではないのですが、ぼく自身は診察経験は普通の病院に比べても割とある方だと思います。

外科手術が必要な症例に関しては専門病院をご紹介することにはなりますが、飼っているフェレットの脱毛が気になり始めたら、いつでもお気兼ねなくご相談ください。

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