最近よく遺伝子検査という言葉をよく聞くようになりました。

血液検査やレントゲン検査などは昔からある検査ですので耳慣れた名前ではありますが、遺伝子検査と言われるとまだ小説や映画の話のように聞こえるかもしれません。

70年ほど前に生き物の体の中にある遺伝子というものの存在が明らかになり、動植物だけでなく、細菌やウイルスなどの遺伝子解析が盛んに研究されています。

人間の遺伝子は20年ほど前にすべての遺伝子の配列が解析され、今日ではそれを応用した医療技術が発達し、以前に比べると安価に遺伝子検査を行うことができるようになりました。

ペットの場合も遺伝的な背景のある病気が数多くあり、その一部の病気は遺伝子検査により発症のリスクを調べることができるようになりました。

今回の記事では、そんな遺伝的疾患の中で昔からある病気の一つとして知られる「変性性脊髄症」をご説明させていただきます。

変性性脊髄症とは?

変形性脊椎症はウエルッシュコーギーを代表とする特定の犬種で起こる進行性の神経麻痺疾患です。

その他、日本でよく見かける犬種としてはバーニーズマウンテンドッグの発生がよく知られています。

脊髄神経が変性することによって麻痺が起こるのですが、この変化についてはまだわかっていないことがたくさんあるため、どのような形で麻痺まで進むのかはわかっていません。

おおよそ8歳ぐらいから症状が出始めることが多く、最初は後肢が躓くようになったり、起立時に震えが目立つようになります。

それからだんだんと後肢が完全に動かなくなり、ちょうどそれくらいの時期に前足の方にも兆候が出始めます。

排尿麻痺や排便困難な状態もこのころからみられるようになり、飼い主様のご負担はかなり増加してきます。

発症に気づいてから2年ほど過ぎると前足も完全に動かなくなり、完全介護状態となります。

平均して発症から3年程度で呼吸器の神経も麻痺をしてくるため、生存が困難になります。

検査方法や治療法は?

変性性脊髄症にかかった犬において、特異的な検査上の異常は特にありません。

レントゲンはもちろんのこと、MRIを用いた画像診断でも検査上の異常な所見は見つかりません。

見かけ上で変性脊髄症なのか他の神経疾患なのかは見分けがつくことは容易でないことも多いので、画定審打破できなくても、こういった基本的な検査を行う必要性はあると思います。

治療法に関しても有効と思われるものはなく、投薬療法もあまり効果は見出せません。

セカンドセレクトで行う治療でも、基本的にはリハビリ治療のご指導などをするほか、鍼治療などにより進行の遅延を目指すにとどまってしまいます。

遺伝子検査は必要?

変性性脊髄症は検査に特異的なものがないため、麻痺の進行状況とそのほかの神経疾患の除外によって診断をつけるのですが、数年前より遺伝子診断ができるようになりました。

血液サンプルを取って診断することが可能なのですが、変性性脊髄症は複数の遺伝子が関与していると考えられており、遺伝子診断で完全に判明することはできません。

したがって変性性脊髄症を患った犬が検査で必ず陽性反応が出るとは限りません。

ですが今のところ唯一の診断方法ではあるので、好発犬種に疑わしい症状が出た場合には積極的に検査を行ってもいいと思います。

まとめ

世の中にはどんなに医学が進歩しても治らないと言われている病気は数多くあります。

セカンドセレクトではそういった病気にかかった動物たちや飼い主様のご負担を少しでも軽くできるように努力していますので、何かお困りのことがあればいつでもご相談ください。

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